数弱が記すので間違っている議論をしている可能性があります.その際はご指摘頂ければ幸いです.
ルベーグ積分論 柴田良弘著での不明点について挙げていこうと思います.
4.2 非負関数に対するルベーグ積分におけるp.97の定理4.2.10の証明で理解が及ばなかった点を記そうと思います.
定理4.2.10の証明の中で下記の記述があります.
$E_j := \{x \in X | f(x)> 1/j\}$とおくと, $\{x \in X | f(x)> 0\} = \bigcup_{j=1}^{\infty} E_j$である.
$$ 0 \leq \mu \left(\{x \in X | f(x)> 0\}\right) \leq \sum_{j=1}^{N} \mu (E_j) $$
ここでわからないのが下記の箇所です.自分なりに考えてみたのですがわかりませんでした.
$$ \mu \left(\{x \in X | f(x)> 0\}\right) \leq \sum_{j=1}^{N} \mu (E_j) \cdots(1) $$
以下, 自分なりに考えたことです.
測度の性質から
$$ A \subset B \implies m(A) \leq m(B) $$
つまり, 式(1)は下記を想定していそうです.
$$ \bigcup_{j=1}^{\infty} E_j \subset E_1 \cup E_2 \cup \cdots \cup E_N $$
しかし, 下記のほうが直観的には正しそうです.
$$ E_1 \cup E_2 \cup \cdots \cup E_N \subset \bigcup_{j=1}^{\infty} E_j $$
子葉さんのご指摘で下記の誤植であると考えれば理解ができました.お時間を割いて下さりありがとうございます.この場を借りてお礼申し上げます.
$E_j := \{x \in X | f(x)> 1/j\}$とおくと, $\{x \in X | f(x)> 0\} = \bigcup_{j=1}^{\infty} E_j$である.
$$ 0 \leq \mu \left(\{x \in X | f(x)> 0\}\right) \leq \sum_{j=1}^{\textcolor{red}\infty} \mu (E_j) $$
ルベーグ積分論 柴田良弘著 p.25の定理2.1.4の劣加法性より明らか.
$$ \mu\left(\bigcup_{n=1}^{\infty}{E_n} \right)\leq\sum^{\infty}_{n=1}\mu (E_n) $$
定理4.2.10では下記のように定理が記載されていますが, 誤植と思われる個所があったので記載します.
$f\in PL^{+}(X)$とする.$\int_X f dx = 0$であるための必要十分条件は a.e.$x \in X$に対して$f(x) = 0$である.
$f\in PL^{+}(X)$とする.$\int_X f d\textcolor{red}\mu = 0$であるための必要十分条件は a.e.$x \in X$に対して$f(x) = 0$である.
p. 184の定理6.2.6 Hahnの分解定理で不明な点があったので備忘録として残します.
書籍では下記のような記述がありますが,証明が納得ができませんでした.特に赤字の部分がわかりませんでした.
一般性を失うことなくすべての$E\in \mathscr{M}$に対して$F(E)<\infty$なることを仮定してよい. 実際, 定義6.2.1(ii)からもしある$E\in \mathscr{M}$に対して$F(E)=\infty$であればすべての$G\in\mathscr{M}$に対し$-\infty< F(G)$であるので$\color{red}Fのかわりに-Fを考えて証明すればよいからである.$
ちなみに定義6.2.1は下記のように記載されています.
$F:\mathscr{M}\rightarrow \overline{ \mathbb{R} } = \mathbb{R} \cup \{-\infty,\infty\} $が$\Sigma$上の集合関数であるとは
(i) $F(\phi)=0$
(ii)$F$は多くとも$+\infty,-\infty$のいずれしかとらない
(iii)$\{E_j\}^{\infty}_{j=1}$を$\mathscr{M}$の互いに交わらない集合列とするとき
$$
F\left(\bigcup_{j=1}^{\infty}E_j\right)
= \sum_{j=1}^{\infty}F(E_j)
$$
が成立する.
p. 185の定理6.2.6 Hahnの分解定理で不明な点があったので備忘録として残します.
書籍では下記のような記述がありますが,証明部分が納得ができませんでした.特に赤字の部分がわかりませんでした.
$\color{red}よってP_jのかわりにQ_jをとってはじめからP_jはFに対して正であると仮定してよい$