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多変数関数の積分における変数変換公式

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次の定理は置換積分とか積分の変数変換公式と呼ばれ,定積分の計算においてしばしば強力な道具となります:

1変数の変数変換公式

関数 f(x) の変数 x を,微分可能な全単射 ϕ:[a,b][c,d] によって x=ϕ(t) と変換するとき,次の等式が成り立つ:

cdf(x)dx=abf(ϕ(t))|dϕdt(t)|dt.

右辺の絶対値は,ϕ が単調減少の場合(このとき ϕ(a)=d かつ ϕ(b)=c となる)の符号を調整するものです.

多変数関数の場合にも,同様に変数変換の公式が存在します.変数系 x,y を変数系 s,t へと変換する場合,しばしば x,y のそれぞれが s,t の関数,すなわち
x=ϕ(s,t),y=ψ(s,t)
のように変換されることになりますから,定理1での調整部分(dϕdt の部分)はもう少し複雑になります.

多変数の変数変換公式

2変数関数 f(x,y) の変数系 x,y を,性質の良い(詳細は省きます)変数変換 ϕ,ψ によって x=ϕ(s,t), y=ψ(s,t) と変換するとき,次の等式が成り立つ:
Af(x,y)dxdy=Bf(ϕ(s,t),ψ(s,t))|J(x,y;s,t)|dsdt,
ただしここで J(x,y;s,t)=det(dϕdsdϕdtdψdsdψdt)ヤコビ行列式ヤコビアン)を表す.

投稿日:20211030
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龍孫江
龍孫江
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代数学(群論・環論・体論)の問題を解説するYouTubeチャンネル「龍孫江の数学日誌」を運営しております(リンクからどうぞ).YouTubeでは扱いきれないまとまった記事を書いていきたいと思います.どうぞご贔屓に.

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