方針
準同型定理を捉え直していこうと思います。加群で話は進めますが、群でも環でも同様な議論はできます。
方針としては剰余加群を特徴づける性質を用いて議論を進めていこうと思います。
普遍性
を加群、をの部分加群、を包含写像とします。この時、加群と全射準同型で、を満たすものを考えます(は自然な全射が念頭にあります...)。特に、となります。
上記で定義したは次のような普遍性を持つ. 任意の加群と準同型の組で、かつなるものに対し、準同型でありを満たすものが一意的に存在する.
可換図式
の存在についてはと定めたがwell-definedであることから分かる。実際、ならばなので、より. よってはwell-defined.
の一意性はが全射であることからはの定義域を隈なく動くことから分かる.
が準同型なのでも準同型.
この普遍性を満たすは同型を除いて一意であることは直ちに分かります。
任意のをやにすると下記のような可換図式が書ける.
可換図式2
写像の一意性からかつである. ゆえには同型写像であるため、.
準同型定理
では本題に入っていこうと思います。まずこのようなの具体的な構成としては、剰余加群(剰余群、剰余環でも同様)を考えればよいです。は自然な全射準同型です。ゆえに、系が言っていることは剰余加群の普遍性を持つものは同型を除いて一意であるということです。
を準同型とします。ここで、としてとして(の制限、値域をにしたもの)を考えてみましょう。もちろんは全射準同型になります。が命題1の普遍性を満たすためにはをどのようにとってくる必要があるでしょうか。
を睨んでみると、この性質はを示唆しているように見えます!!!! まとめます。
を自然な全射準同型、をの制限とする.
この時、である.ゆえに、とはどちらも命題1の普遍性を満たす.よって、系より.
準同型定理を満足いく形でまとめ直せました!