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大学数学基礎解説
文献あり

多重ゼータ値[2]

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一様収束性の議論とかはいちいち書くのが面倒なので記事内ではしていませんが、級数と積分の交換がすべて正しく行われていることは確認済みです。

C1:={z | zC,|z|=1},kiZ>0i,ai(C1)i とする。
ζ(k):=0<n1<<ni1nk
ζ(k)[x]:=0<n1<<ni1nkxni
Lk(a):=0<n1<<niannk
Lk(a)[x]:=0<n1<<niannkxni

上は多重ζ値(Multiple Zeta Value,MZV)と多重L値(Multiple L Value,MLV)の定義である。

明らかにLk(1)=ζ(k)である。
また、aの要素がζN=exp(2πiN)の冪のみであるとき、これをclassNのMLVという。特にN=2のときはAlternating Multiple Zeta Value(日本語訳はわからない)といって、AMZVと略す。
たとえばk=(1,1,2),a=(1,1,1)のとき、Lk(a)=ζ(1,1,2)となる。

Hoffman algebra

a=dxx,bi=dxζNix,X={a,b0,,bN1}とおく。XQ上張る非可換多項式代数をHNとおく。

反復積分を以下のように再帰的に定義する。
abf1(x)dxfm(x)dx=abf1(x)dxfm1(x)dx0xfm(u)du

zk,i=ak1biHN,ζNin=μnとする。このとき、classNのMLVは反復積分を用いて以下のように表される。
Lk1,,km(μ1,,μm)=01zkm,imzkm1,im+im1zk1,im++i1

depth1,weight1の場合

L1(μ1)[x]=0xz1,i1

以下の証明でx0<x<1を満たす実数とする。

L1(μ1)[x]=0<nμ1nnxn=0<nμ1n0xtn1dt=0x0<nμ1ntn1dt=0xμ10n(μ1t)ndt=0xdtμ11t=0xz1,i1

Lk1,,km+1(μ1,,μm)[x]=0xdttLk1,,km(μ1,,μm)[t]

Lk1,,km+1(μ1,,μm)[x]=0<n1<<nmμ1n1μmnmn1k1nmkmxnmnm=0<n1<<nmμ1n1μmnmn1k1nmkm0xtnm1dt=0x0<n1<<nmμ1n1μmnmn1k1nmkmtnm1dt=0xdttLk1,,km(μ1,,μm)[t]

Lk1,,km,1(μ1,,μm,μm+1)[x]=0xdtμm+11tLk1,,km(μ1,,μmμm+1)[t]

Lk1,,k,1(μ1,,μm,μm+1)[x]=0<n1<<nm+1μ1n1μmnmμm+1nm+1n1k1nmkmxnm+1nm+1=0<n1<<nm+1μ1n1μmnmn1k1nmkmμm+1nm+10xtnm+11dt=0x0<n1<<nm+1μ1n1μm+1nm+1n1k1nmkmtnm+11dt=0x0<n1<<nmμ1n1μmnmμm+1nm+(nm+1nm)n1k1nmkmtnm+(nm+1nm1)dt=0x0<nμm+1ntn10<n1<<nmμ1n1(μmμm+1)nmn1k1nmkmtnmdt=0xdtμm+11tLk1,,km(μ1,,μmμm+1)[t]

補題1の結果に補題3、4の式を適用して
Lk1,,km(μ1,,μm)[x]=0xzkm,imzk1,im++i1
を得るのでx1として定理1の式を得る。

参考文献

投稿日:20211121
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Ιδέα
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割り算が苦手です

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