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ハル本の2章に載っている最小リスクヘッジングの導出

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概要

ハル本の最初の方に最小ヘッジングについて書いてあったんですが、 当然のように導出も、その配分を取った時の分散についても書かれていなかったので、(ほとんど当たり前の計算ですが)やってみました。
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定式化

商品$A$と商品$B$があるとします。$A$のリスクを$B$を用いてヘッジングすることにします。$A$の値段と$B$の値段は時間$t$に依存して変化します。値段をそれぞれ$A(t), B(t)$と書きます。
ある期間$T$での変化を
$$ \Delta A(t) = A(t+T) - A(t)\\ \Delta B(t) = B(t+T) - B(t) $$
とおきます。また$\Delta A(t)=\Delta A$と略記することにします。そして、この記事では$E(\Delta A)=0, E(\Delta B)=0$と仮定して、以下の議論を行います。
この時、最小リスクヘッジとは、実数$\alpha$を用いて
$$ Var(\Delta A + \alpha \Delta B) $$
を最小にするようなヘッジングのことです。

最小リスクヘッジの導出

純粋に計算していきます。
$$ Var(\Delta A + \alpha \Delta B) \\ = \sum \Delta A^2 + 2\alpha \Delta A \Delta B + \Delta B^2 \\ = \sigma_B^2 \alpha^2 + (2 COV_{\Delta A \Delta B})\alpha + \sigma_A^2\\ = ( \alpha + \frac{COV_{\Delta A \Delta B}}{2} )^2 - \frac{COV_{\Delta A \Delta B}^2}{\sigma_b^2} + \sigma_{\Delta A^2 }\\ = ( \alpha + \rho \frac{\sigma_A}{\sigma_B} )^2 - (1-\rho^2)\sigma_A^2 $$
よって、最小リスクヘッジは
$$ \alpha = -\rho \frac{\sigma_A}{\sigma_B} $$

$$ Var(\Delta A + \alpha \Delta B) =(1-\rho^2)\sigma_A^2 $$
となります。

最後に

$\alpha$は比率ですが、先物ではショートポジションも取れるので、マイナスをとることもできます。つまり、何かのロングポジをもっているときに何かのロングポジを持ってヘッジングする可能性も式の上ではあります。おもしろいですね、CME上の先物現物のデータを持ってきて、そういう場合があるかどうかを調べてみるのも面白いかもしれません。

投稿日:2020118
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