はじめに
複素数の絶対値を特徴づける、以下の定理に証明をつけることが本記事の目的である。
補題
定理の条件を満たすに関して、いくつかの補題を証明する。
補題2
として、 なるとき を示したい。
とすると、条件よりである。
そして
さては以下のように抑えられる。
また負の実数をとすれば
であるから、はとをそれぞれとの符号から決まる定数として
と評価できる。詳しく書けば
である。
したがって
となる。ただし、とおいた。なるとき最右辺がに収束するので、は連続である。
補題3
であるから、はの乗根である。の定義より以上の実数値に限られるので、である。
補題4
単位円周上の任意の点を と表す。然らば、任意の正数に対してある自然数が存在して、
とできる(における有理数の稠密性)。
補題2のの連続性により、任意の正数に応じて正数を取り、さらにに応じて十分大きくを取れば、のとき
とできる。ここでに補題3を用いた。
ゆえに、すなわちである。
定理の証明
補題4より、であるのだから、
が成り立つ。これが証明したいことであった。
おわりに
複素数の絶対値の特徴づけもおもしろい(雑)。