はじめに
ただ連立方程式を解くことが目的である場合の同値変形をまとめていきます。
用語や記号がほんの一部高校範囲外なので大学数学以上に設定してありますが、かといって大学数学レベルのことかと聞かれると微妙です。
同値変形
式の消去のために、次に説明する同値変形と合わせて暗黙的に使います。
同値変形
の単項式にの先頭単項式の倍数があるとき、からを得る操作をによる単項簡約といい、と表すことにします。
はある単項式を用いてと表せる。
ならばだから
が示される。また、と表せる。
ならばだから
が示される。
これを使うことが多いです。
同値変形
の先頭単項式を先頭係数で割ったものを先頭項といいます。
項の最小公倍数をと表すことにします。
について
をの多項式といいます。
は明らかである。
また、はある単項式を用いてと表せる。
ならばだから
が示される。
同値変形で変数の方程式が現れなかったときに使います。
例1
を解いてみましょう。
まず移項によって右辺を0にします。最終的に変数の方程式に落としこみたいため、の辞書式順序で並べます。
同値変形が使えないので、同値変形を使います。
を求めます。
との最小公倍数はなので
を方程式に追加します。
先頭単項式がである式が現れたので、同値変形を使います。
同じ方程式がつ現れたので、同値変形からの同値変形で消去します。
同値変形をまた使います。
同値変形をまた使います。
同値変形をまた使います。
はの簡約グレブナー基底ですが、それを確認する必要はありません。
連立方程式を解くために同値変形をしてきたということが重要です。
を解きます。
明らかにを解にもつので
より
の場合
より
より
の場合
より
より
の場合
より
より
よって
の解は、または複号同順です。
例2
さらに極端な例です。
を解いてみましょう。
ちなみにこの方程式で1963年の名古屋大学の入試の図形問題を補助線を引かずに解けます。
まず移項によって右辺を0にし、の辞書式順序で並べます。
同値変形をひたすら使っていきます。
より
より
より
より
より
より
より
より
同値変形だけでの方程式との方程式との方程式がそれぞれ現れました。
より、実ははのグレブナー基底ではありません。
しかし、ここまで連立方程式を解くという目的のもと同値変形をしてきたので、このまま解いて問題ありません。
を解くと
よりです。
の場合
より
より
の場合
より
より
よって
の解は、またはです。