今日は指数の肩にラプラシアンを乗せた演算子について考える。これはWeierstrass変換と呼ばれていて、次のような積分変換の表示ができる:
準備として
部分積分によって帰納的に次が示される:
演算子としての等式は多項式に対する作用が一致するという条件で定めたので、基底となる関数
結果が一致したので上記の恒等式は証明された。
一般に性質が良い作用素は
という形の積分変換で書き表すことができて、
ここで
なので
となるが、
と見做せるから、
となる。多変数化してみる。
物理の応用例について話す。
時間並進を考えると
また、得られた積分についても
Gaussian filter
のイメージを使えば自明と思えるのである。Gaussian filterはGaussianぼかしとも呼ばれて、画像をぼかす処理をおこなう際に用いられており、画像の標準偏差
と定義される。まさにこれはWeierstrass変換で
Fourier変換は後続の記事にて詳しく解説するのでお気持ち程度の言及にするが、
と書ける。日本語で解釈すると逆フーリエ変換で(テキトーに区切りを入れて周期的境界を入れた)系を周波数成分になおして、Gauss分布を掛けて高周波数成分ほど急激に小さくなるようにしてFourier変換をしてもとに戻すといった操作をWeierstrass変換は行う。このことで高周波数成分(画像解析の例で言えば画像のくっきりさ)が消されてぼやけたイメージが残るのである。物理のイメージを援用するなら、画像の色相が熱伝播のように周囲に拡散して画像がぼやけるといった感じである。このようにWeierstrass変換はとても奥が深い。多変数化の途中で
を使ったがこれはGaussianぼかしの直積性をしめしており、N次元のGaussianぼかしをおこなうことは正規直交な各軸の1次元Gaussianぼかしを計