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sl2表現

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今日はsl2の表現について深堀りする。sl2lie代数の定義は以下の通りである。

sl2KLie代数

sl2K=KHKE+KE
[E,F]=H
[H,E+]=2E+
[H,E]=2E

これはM2(K)に埋め込める。

sl2の自然表現

ρ(H)=(1001)ρ(E+)=(0100)ρ(E)=(0010)
実際にLie代数の準同型写像になっていることが分かる:
[ρ(E+),ρ(E)]=ρ(H)[ρ(H),ρ(E+)]=2ρ(E+)[ρ(E),ρ(H)]=2ρ(E)

exp(sl2C)でできる空間を見る。

sl2のexp明示公式

A=(a0a+aa0),ϕ=a02+a+aとする。このとき
eA=(coshϕ+a0ϕ1sinhϕa+ϕ1sinhϕaϕ1sinhϕcoshϕa0ϕ1sinhϕ)
証明:A2=ϕ2Iより
eA=n=0(A2)n(2n)!+n=0(A2)n(2n+1)!A=Icoshϕ+Aϕ1sinhϕ

SL2(C)は単連結ではあるが、S=exp(sl2C)の像とはならない。たとえばb0に対して
(1b01)SL2(C)である。expの明示式の対角項を見ればϕ/iπZとなるが非対角項を見ればb=0になって矛盾し、S=exp(sl2)の像に含まれない。また、(1b01),ISだが、(I)(1b01)=(1b01)SなのでSは群ですらないとわかる。SL2(R)は単連結ですら無い。しかしexpで表せるような重要な部分群がいくつか存在するので取り上げておく(あとで追記)

他の例をみよう。2変数多項式には自然にSL2(C)が作用する。

SL2(C)の多項式への作用

M=(abcd)SL2(C)の表現Φ(M)f(x,y)=f(ax+by,cx+dy)が定まり、これの微分表現は次のsl2Lie代数となる:
E+:=txE:=xtH:=ttxx
実際にこれがLie代数の準同型であることは以下のように確かめられる:
[E+,E]f(x,t)=tx(xft)xt(fx)=tftxfx=Hf(x,t)
[H,E+]f(x,t)=tt(tfx)xx(tfx)tx(tftxfx)=2E+f(x,t)
[E,H]f(x,t)=xt(tftxfx)tt(xft)+xx(xft)=2Ef(x,t)

多重指数表記の基底vα,β=vp:=zp:=xαyβ(z=(x,y),p=(α,β))に対するこの表現の作用を見るとρ(H)vp=(βα)vpρ(E+)vp=αvα1,β+1rho(E)vp=βvα+1,β1
となる。多項式の次数d(vp)=α+βρ(sl2)の作用で不変である。つまり表現空間C[x,y]は既約ではなく、k次の斉次多項式全体のベクトル空間Vkが既約な表現空間となっていて、sl2の作用で閉じている。n次以下の多項式全体はV0V1VNというように直和分解できる。実はこの表現は線型空間として先に紹介した表現と同型である。というのはuz=u1x+u2yV1に対する作用をみれば表現行列が自然表現で定めた行列(uC2上の表現)と一致するということが分かる。

他の表現の例を見る。

C[z]上の表現

E+:=z2λzE:=H:=2z+λ
(面倒なのでρ()は省略した。)
実際にこれがLie代数として準同型であることは次のようにも確かめられる:
[E+,E]f(z)=(z2f(z)+λzf(z))(z2+λz)f(z)=2zf(z)+λf(z)=E0f(z)
[E0,E+]f(z)=2z(z2f(z)λzf(z))+(z2+λz)(2zf(z))=2E+f(z)
[E,E0]f(z)=(2zf(z)λf(z))(2zλ)f(z)=2Ef(z)
これは1変数複素関数に対するSL2(C)1次分数変換作用Aλ
Aλ(M)f(x)=(cx+d)λf(ax+bcx+d)
の微分表現に対応している。実際にAλがLie群の準同型であることは計算すれば分かるが少し非自明である。exp(sl2)SL2(C)の作用の仕方は、expの明示公式より
exp[a+(x2+λx)+a+a0(2x+λ)]f(x)=(xaϕ1sinhϕ+coshϕa0ϕ1sinhϕ)λf(xϕcoshϕ+xa0sinhϕ+a+sinhϕxasinhϕ+ϕcoshϕa0sinhϕ)

次の例を見る。Schwartz空間、あるいはRn上の急減少関数の空間とは、次の関数空間のことを言う。
S(Rn)={fC(Rn)fα,β<α,β}.
ここでα,βは多重指数であり、C(Rn)Rn から C への無限回微分可能関数の集合である。またノルムは
fα,β=supxRn|xαβf(x)|

(=(x1,x2,,xn))である。ここで supは上限を表し、再び多重指数の記号が用いられている。
この定義を理解する上で、急減少函数は本質的には、R上の至る所で f(x),f(x),f(x),...のすべてが存在する函数 f(x) であり、かつ x± としたとき x の任意の負べきよりも早くゼロに収束するものであることに注意されたい。特にS(Rn) は無限回微分可能な函数の空間C(Rn)の部分空間である。

sl2RのSchwart空間上の表現

生成元の対応は次のようになる(ρは略)
E+=i2x2E=i22H=x+12
H=12(x+x)と書けば生成元はすべてWeyl代数の2次式、Heisenberg代数のFock表現の普遍包絡環の元である。準同型は以下のように確認できる。
[E+,E]=14[2,x2]=14([[,x2]+[,x2])=14(x[,x]+[,x]x+x[,x]+[,x]x)=12(x+x)=H
[H,E+]=i2[x+12,x2]=i2(x[,x2]+[x,x2])=2E+
[E,H]=i2[2,x]=i2(x[2,]+[2,x])=2E
この例についての詳細な考察は次の記事に書く。

投稿日:20211216
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赤げふ
赤げふ
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東工大情報B4 数学,理論物理,Minecraft計算機/微分演算子の記事を書きます/主に表現論,量子群,物理の数理に興味があります

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