この記事では縮約記法を使います。
成分による行列式の階微分
という行列に微小な量を成分に持つ行列を足してという行列に変えるとき、という値がどう変わるかを考えます。
と変形できます。ここで、の次以上の項を無視することにすると、行列式で残るのは対角成分の積を取った項だけ、その中でもまでがの次の項として残ります。
という値がどう変わるかは分かりました。ところでの微分を考えると
となることから
こうして成分による行列式の階偏微分が求まります。
例
次正方行列で確かめてみましょう。
正しそうです。
成分による逆行列の成分の微分
一般化の準備として逆行列の成分の変分も計算しておきます。
逆行列の成分の、元の行列の成分による変分が求まりました。
成分による行列式の階微分
数学的帰納法を使います。成分による行列式の階微分が
と書かれているとします。これはとすれば上で求めた、成分による行列式の階偏微分に一致しますね。このとき階微分の変分は
ここで、
という置換の符号はに等しく、
という置換の符号はに等しいので、結局
となり、数学的帰納法から成分による行列式の階微分が求まりました。
例
階微分の場合を次正方行列で確かめてみましょう。
となって成り立ちます。の項が打ち消されての係数がちょうどになるとはよくできていますね。