近年、読みやすい数学の専門書が増えている。
この記事では数学科のB1~B4で習う科目に関する専門書を紹介していこうと思う。
(他にこういう記事が見つからなかったので、
もしかしたら投稿する場所として適していないかもしれない…)
全ての本を読み切っているわけではないので、悪しからず。
・入門微分積分 三宅敏恒 著
B1で学ぶ内容が一通りまとめられており、例題や計算問題が多く載っている。
薄いがB1の範囲はカバーしているので、院試直前の復習に役立った。
・手を動かしてまなぶ微分積分 藤岡敦 著
難易度は上記の本と同じぐらいだが、簡単な穴埋めなどで
読者が少しでも手を動かせるように配慮してくれているありがたい本。
・入門線形代数 三宅敏恒 著
行列式、基底、表現行列、固有値、対角化などの内容が学べる。
ジョルダン標準形などは標準形などは載っていない。
この本も院試直前の復習に役立った。
・手を動かしてまなぶ線形代数/続線形代数 藤岡敦 著
微分積分に続き、藤岡先生の本。(この後も出てくるがステマではない)
理由は積分の方と同じ。
・線形代数 長谷川浩司 著
図や注、コラムなど読者に嬉しい記述が多く、網羅性も高い。
(解答だけで50P以上ある)
初心者から深く学びたい人までおすすめできる本。All in one.
・複素関数入門 R.V.チャーチル/J.W.ブラウン 著
最近は中古しかないらしく残念ではあるが、
この本のおかげでかなり複素が得意になった思い入れのある本なので載せる。
鬼のように問題が多く載せられており、これ一冊で院試まで問題ない。
(東大や京大はこれ以上の内容を要求されるかもしれないが)
・入門複素関数 川平友規 著
複素数平面は実2次元なので複素関数の図示は一般に難しいが、
この本では図を多く載せてくれている。
証明の式にも不等式評価の根拠を記載してくれていたりと読者に優しい本。
問題数も多く、解答も丁寧なので、
演習を積みたいけど上の本が手に入れられない方にもオススメ。
ちなみに、川平先生は講義資料をHPで公開されており、
この本に限らず図やビジュアライゼーションの使い方、見せ方が上手だと思う。
・なっとくする微分方程式 小寺平治 著
正直、解析系はあまり詳しくないので理論より計算ができるように
なるための本として自分が使用したものを挙げた。
解くための手法、例題、図でほとんどが構成されており、
計算メインのテストを乗り切る程度ならこれで問題ないと思われる。
・ルベーグ積分入門 吉田伸生 著
0章を読むだけでも、ルベーグ積分を扱うモチベの参考になる。
例や問題をこれほど多く扱うルベーグの本はあまりないかも…?
(知っている方がいれば教えて下さい)
証明終了のマークが\(^o^)/オワタ
・ルベーグ積分入門 テレンス・タオ 著
言わずと知れた天才の書いた本。数学書は訳がひどいのもあるが、
この本の訳に関して悪い噂は聞かない。
というより、タオのお気持ちなどもきちんと訳してくれている。
内容としては、ルベーグ積分以外にも使えそうな証明の手法を
述べてくれており、全体を通して教育的な1冊という感じである。
・ルベーグ積分30講 志賀浩二 著
分かりやすいと評判の30講シリーズのうちの1冊。
学部生の頃はこれでゆっくりモチベなどを学んだ。
微分方程式に続き、こちらもあまり詳しくない(というより未履修)であるが、
少しだけコメントする。
・フーリエ解析 H.P.スウ 著
たくさん演習したかったので、買った。
・新・フーリエ解析と関数解析学 新井仁之 著
理論の側面も補いたかったので買った。
モチベーションを多く書いてくれていて嬉しい。
・多様体の基礎 松本幸夫 著
微積、線形、位相の知識が少しあれば読める。自主ゼミなどにおすすめ。
多様体の定義から接ベクトル空間、埋め込み、ベクトル場、
微分形式まで盛り沢山な本。self-containedな1冊。
・具体例から学ぶ多様体 藤岡敦 著
看板に偽り無しな本。定義と具体例を同時に学べるいい本。
(このスタイルの本が流行ってほしい。)
・トゥー多様体 Loring.W.Tu 著
Bott-Tuで有名なTuさんの本。
多様体に関する一通りの定義などが載っている辞書のような印象。
章末にある演習問題を解いていくことが大事だと思われる。
・位相幾何入門 小宮克弘 著
薄いが、閉局面の分類やホモロジー群などが一通り載っている本。
院試勉強の際、トポロジーをざっくり復習するのにとても役立った。
・トポロジー入門 クゼ・コスニオフスキ 著
上には含まれていない基本群の勉強のために読んだ。
演習問題が多くて嬉しい。ゼミなどでワイワイやっても楽しそうである。
(最近は中古しかないようである。残念。)
・じっくりと学ぶ曲線と曲面 中内伸光 著
他の数学書にはないフランクさがある。
図があるのは幾何を学ぶ上で嬉しく、また、演習問題も多い。
・曲面とベクトル形式 小林 真平 著
上の本と同様に図、演習が多い。
また、曲線曲面論の本は、定義や定理などが文章中に埋もれてしまっている本が
多いように思うが、この本はきちんと定義、定理などを明記してくれている。
・群環体入門 新妻弘 著
集合論を習ったことがある人なら、サラッと取り掛かれる本。
代数の取っ掛かりとして例にたくさん触れられるのは嬉しい。
別冊で演習書もある。
・代数学1 群論入門 雪江明彦 著
well-definedの説明や学生のよくやるミスなど、
最初に躓きそうな箇所から教えてくれる本。
整数の方も好き。
・代数学2 環と体とガロア理論
群論入門が読みやすかったので、読んだ。
youtubeに講義の動画が落ちている。
・代数方程式とガロア理論 中島匠一 著
行間をほとんど埋めてくれている本。
ガロア理論まで辿り着くまで結構なページがあるが、途中で挫折しにくい本。
以上が、学部生におすすめの入門書である。
また、思いついたら加筆していこうと思う。