選択公理が「すべての連結グラフは全域木をもつ」ことと同値であることを示します.グラフについては自分は詳しくないので,間違いがあればご指摘ください.
次は同値である.
$G=(V,E,\phi)$を連結グラフとする.$\mathcal{T}=\{(V',E',\phi')\mid (V',E',\phi')$は$G$の部分グラフであり,木である$\}$と定める.また,$\mathcal{T}$上の二項関係$\preceq$を部分グラフであることにより定めると,$(\mathcal{T},\preceq)$は半順序集合になる.これが帰納的であることを示す.$\mathcal{C}$を任意の$\mathcal{T}$の鎖とする.$T_0=(\bigcup_{T\in\mathcal{C}}\mathrm{vert}(T),\bigcup_{T\in\mathcal{C}}\mathrm{edge}(T),\phi|_{\bigcup_{T\in\mathcal{C}}\mathrm{edge}(T)})$とおく.任意に$v,v'\in T_0$をとるとき,$\mathcal{C}$が鎖であることからある$(V_1,E_1,\phi_1)\in\mathcal{C}$が存在して$v,v'\in V_1$となる.ゆえに$v$を始点とし$v'$を終点とする道が存在する.また,もし$v$を通るサイクルが存在するとき,そのサイクルを含むような$(V_2,E_2,\phi_2)\in\mathcal{C}$が存在することになり矛盾が生じる.よって$T_0$は連結かつサイクルをもたないことから,木である.よって,$T_0$は$\mathcal{C}$の上界である.したがって,Zornの補題より$\mathcal{T}$は極大元$T$をもつ.もし,$T$が$G$の全域木でないとすると,ある$w,w'\in V$が存在して,$w$を始点とし$w'$を終点とする道は$T$に存在しない.他方$G$は連結であるので,$w$を始点とし$w'$を終点とする道は$G$には存在するので,この道を含むように$T$を拡大したものを$T'$とすれば,これは$T\prec T'$を満たすので,$T$の極大性に反する.よって,$G$の全域木$T$の存在が示された.
$(X_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}$を空でない集合からなる族とする.グラフ$G=(V,E,\phi)$を,
$$
\begin{align}
V&=\{\bullet\}\cup\{\bigcirc_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}\cup\{\square_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}\cup\Bigl(\bigcup_{\lambda\in\Lambda}(\{\lambda\}\times X_\lambda)\Bigr)\\
E&=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}\left(\{a_\lambda\}\cup\{b_{\lambda,x}\mid x\in X_\lambda\}\cup\{c_{\lambda,x}\mid x\in X_\lambda\}\right)
\end{align}
$$
とし(未定義の文字はすべて異なる),
$$
\phi(a_\lambda)=\{\bullet,\bigcirc_\lambda\},\;\phi(b_{\lambda,x})=\{\bigcirc_\lambda,(\lambda,x)\},\;\phi(c_{\lambda,x})=\{(\lambda,x),\square_\lambda\}
$$
で定める.
Gのイメージ
$G$は連結グラフである.よって全域木$T=(V,E',\phi|_{E'})$が存在する.$T$の連結性より,任意の$\lambda\in\Lambda$に対し$\bigcirc_\lambda$を始点とし$\square_\lambda$が終点となる道が存在し,$T$がサイクルを持たないことからこれは一意に定まる.すなわち,$b_{\lambda,x_\lambda},c_{\lambda,x_\lambda}\in E'$を満たす$x_\lambda\in X_\lambda$が一意に定まる.
Tのイメージ
このとき,$(x_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}\in\prod_{\lambda\in\Lambda}X_\lambda$であるから,$\prod_{\lambda\in\Lambda}X_\lambda$は空でない.