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大学数学基礎解説
文献あり

【高専生用】微分方程式の解法

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この記事は高専生向けです.

この記事は高専生用に解けたらいいよねと作られたものです.
微分方程式について論理的に解いてるわけではないので注意してください.

0. 進度に合わせて追加していきます.

現在進行形で微分方程式の授業が行われているので,随時追加箇所があれば更新して追加していこうと思っています.
以下,微分方程式について説明していきますが,“解法”を軸として説明していきます.
あと,一階非斉次微分方程式についてはめんどくさいので書いてないです.
正直,代入して線形結合するだけだと思っているので.
2025/4/28 更新
初期値問題を追加
2025/5/20 更新
二階線形微分方程式を追加

1. 微分方程式とは

$y$ : 変数 $y$
$y(x)$ : $x$ の式 

“xについての関数 $ y = y(x) $ の導関数の間の関係式によって書かれる方程式”のことを「微分方程式」と言います.
つまり,$ y' + xy = 0 $ みたいな式のことを言います.
また,微分方程式において,関数 $ y = y(x) $ が微分方程式に当てはめて等式が成り立つとき,関数 $ y = y(x) $ は微分方程式の「解」と言います.

解には2種類あります.
「一般解」:$C$($C$は任意定数) のように書かれる関数 $y=y(x,C)$ みたいな関数です.
「特殊解」:任意定数といった表記がないような関数 $y=y(x)$ です.
つまり,任意定数という“都合のいい数”があるかないかっていう話です.
そうそう,積分定数みたいな感じね.

とりあえず「」がついている部分の単語を抑えておけばおk.

2. 一階微分方程式

はい.早速新しい単語出てきました.
「一階」:微分一回のみ(微分二回以上したものは出てこない)
つまり,一階微分方程式とは $y' - f(x)g(x) = 0$ となるような微分方程式です.
解き方に種類があるので,それぞれで見ていきます.

a.変数分離形

$y' - f(x)g(y) = 0$ となるような微分方程式を「変数分離形」の微分方程式と言います.
解き方は以下の通りです.

\begin{align} y' - f(x)g(y) &= 0 \\ \frac{dy}{dx} &= f(x)g(y) \\ \frac{1}{g(y)}dy &= f(x)dx \\ \int \frac{1}{g(y)}dy &= \int f(x)dx \end{align}
より $y$ についての式を導出します.

微分方程式 $y' = xy$ を解け.

解答)
変数分離形の形 $y' - f(x)g(y) = 0$ とすることができるので,
\begin{align} \frac{dy}{dx} &= xy \\ \frac{1}{y}dy &= xdx \\ \int \frac{1}{y}dy &= \int xdx \\ \log |y| &= \frac{1}{2}x^2 + c \quad \text{($c$ ; const.)} \\ |y| &= \exp \left( {\frac{1}{2}x^2 + c} \right) \\ y &= \pm e^c \exp(\frac{1}{2}x^2)\\ y &= C \exp(\frac{1}{2}x^2) \quad \text{($C = \pm e^c$ ; $C$ は任意定数)} \end{align}

みたいな感じです.

b.同次形

$\dfrac{dy}{dx} = f \left( \dfrac{y}{x} \right)$ となるような微分方程式を「同時形」の微分方程式と言います.
この形の方程式は,$u = \dfrac{y}{x}$ すなわち $y = ux$ とすると,
$y' = u + u'x$ なので $\dfrac{du}{dx} = \dfrac{\frac{dy}{dx} - u}{x}$
すなわち $\dfrac{du}{dx} = \dfrac{f(u) - u}{x}$ と変形できます.
このとき,変数分離形の微分方程式となって $y = y(x) = u(x)x$ を求めることができます.

微分方程式 $y' = \dfrac{xy}{x^2 + y^2}$ を解け.

解答)
\begin{align} y' &= \dfrac{xy}{x^2 + y^2} \\ y' &= \dfrac{\frac{y}{x}}{1 + \left( \frac{y}{x} \right)^2} \end{align}
これは,同時形の微分方程式なので,$u = \dfrac{y}{x}$ とおくと,
$y' = u + xu'$ なので,
\begin{align} u + xu' &= \dfrac{u}{1 + u^2} \\ xu' &= \dfrac{u}{1 + u^2} - \dfrac{u + u^3}{1 + u^2} \\ xu' &= -\dfrac{u^3}{1 + u^2} \\ \end{align}
このとき,変数分離形の微分方程式なので,
\begin{align} -\dfrac{1 + u^3}{u^2} du &= \dfrac{1}{x}dx \\ \int -\dfrac{1 + u^3}{u^2} du &= \int \dfrac{1}{x}dx \\ \dfrac{1}{2u^2} - \log |u| &= \log |x| + C \\ \dfrac{1}{2u^2} &= \log |x||u| + C \\ \dfrac{x^2}{2y^2} &= \log |y| + C \quad \text{($C$ は任意定数)} \end{align}
この関数は陰関数であり,
この関係式から決まる $x$ についての陰関数 $y = y(x)$ の全体が与えられた微分方程式の一般解である.

みたいな感じです.

c.完全微分形

2変数関数 $P(x, y)$$Q(x, y)$ によって
$P(x, y)dx + Q(x, y)dy = 0$ となる微分方程式を「完全微分形」の微分方程式と言います.
(正確にはこの微分方程式の解き方は「完全微分形」と「積分因子」とで分けられるのですが,「積分因子」を習わなさそうなのでこちらのみの紹介となります.)

この微分方程式の解は
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} F_x(x, y) &= P(x, y) \\ F_y(x, y) &= Q(x, y) \end{array} \right. \quad \quad \cdot \cdot \cdot (*) \end{eqnarray}を満たす $F(x, y)$ です.
ここで一つ,以下を覚えておくと楽です.

完全微分形方程式の解

微分方程式 $P(x, y)dx + Q(x, y)dy = 0$ について,
関数 $F(x, y)$$(*)$ の式を満たすなら,
その解は $F(x, y) = C \quad \text{($C$ は任意定数)}$ である.

$x, y$ の間に $F(x, y) = C$ という関係が成り立つとする.
この両辺を,例えば$x$で微分すると,右辺は$0$,左辺は
\begin{align} F_x(x, y) + F_y(x, y) \dfrac{dy}{dx} = P(x, y) + Q(x, y) \dfrac{dy}{dx} \end{align}
となり,$P(x, y)dx + Q(x, y)dy = 0$ が満たされる.
逆にこの解が,例えば $y = y(x)$ で与えられるとすると
\begin{align} \dfrac{d}{dx} F(x, y(x)) &= F_x(x, y) + F_y(x, y) \dfrac{dy}{dx} \\ &= P(x, y) + Q(x, y) \dfrac{dy}{dx} \\ &= 0 \end{align}
である.
したがって,$F(x, y) = C \quad \text{($C$ は任意定数)}$ となる.(証明終)

一応証明を載せておきました.
それでは例題です.

次の微分方程式を解け.
$(2x \sin(xy) + (x^2 y + y^4) \cos(xy))dx + (3y^2 \sin(xy) + (x^3 + xy^3) \cos(xy))dy = 0$

少し式が長いですが頑張りましょう.

解答)
題意の微分方程式は完全微分形なので,
\begin{align} P(x, y) &= 2x \sin (xy) &+ (x^2 y + y^4) \cos (xy) \\ Q(x, y) &= 3y^2 \sin(xy) &+ (x^3 + xy^3) \cos(xy) \end{align}
ここで $F(x, y) = (x^2 + y^3) \sin (xy)$ とすれば,
\begin{align} F_x(x, y) &= 2x \sin (xy) &+ (x^2 y + y^4) \cos (xy) \\ F_y(x, y) &= 3y^2 \sin(xy) &+ (x^3 + xy^3) \cos(xy) \end{align}
となる.
したがって,題意の微分方程式の解は $F(x, y) = (x^2 + y^3) \sin (xy)$ である.

d.初期値問題

与えられた微分方程式において,
与えられた初期条件を満たす解を求めることを「初期値問題」と言います.
これは,例題をみたほうが分かりやすいと思います.

質量 $m$ の物体の時刻 $t$ における落下速度を $v = v(t)$ とするとき,
受ける空気の抵抗は $kv \text{ ($k$ は定数)}$ であるとする.
このとき,物体の落下速度の微分方程式は $m\dfrac{dv}{dt} = mg - mv \text{ ($g$ は重力加速度)}$ となる.
ここで,初期条件 $v(0) = 0$ という条件の下で解け.

解答)
題意の微分方程式は
\begin{align} \dfrac{1}{mg - kv} \dfrac{dv}{dt} = \dfrac{1}{m} \end{align}
と変形できるので,一般解は
\begin{align} \log |mg - kv| = -\dfrac{kt}{m} + C \quad \text{($C$ は任意定数)} \end{align}
となる.
(ここまでは今までの解き方と同じ)
$t = 0$ とすると, $v(0) = 0$ なので,
\begin{align} C = \log mg \end{align}
である.
よって,「特殊解」は
\begin{align} \log |mg - kv| &= -\dfrac{kt}{m} + \log mg \\ v(t) &= \dfrac{mg}{k} \left( 1 - e^{-\frac{k}{m}t} \right) \end{align}
となる.

条件が付いている微分方程式は「特殊解」まで解く必要があるので注意が必要です.

3.二階線形微分方程式

二階微分方程式は,
\begin{align} y'' + P(x)y' + Q(x)y = R(x) \end{align}
の形をした微分方程式のことを指します.

この中で,二階線形微分方程式とは,
「二階」:微分二回のみ(微分三回以上したものは出てこない)
「線形」:$x^n$の係数が定数であること
を満たす微分方程式で,
\begin{align} y'' + py' + qy = R(x) \quad (p,q \, \text{ is const.}) \end{align}
の形をした微分方程式を指します.

この式を $\lambda$ を用いた特性方程式で解く方法を紹介します.

補助方程式 $y'' + py' + qy = 0 \quad (p,q \, \text{ is const.})$ の解の1つを
\begin{align} w(x) = C e^{\lambda x} \quad (C \text{ is arb.const.}) \end{align}
とすると,特性方程式 $\lambda ^2 + p \lambda + q = 0$ が得られます.(導出は簡単)
したがって,この特性方程式の解 $\lambda$ を求めたとき,元の微分方程式の一般解が求められます.
ここで,この特性方程式の解は2個あり,代入し計算すると以下のような形になります.

$ y = \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} C_1 e^{\lambda_1 x} + C_2 e^{\lambda_2 x} &\quad& \text{($\lambda_1,\lambda_2$ が異なる実数解のとき)} \\ e^{\lambda x}(C_1 x + C_2) &\quad& \text{($\lambda$ が重なる実数解のとき(重解))} \\ e^{\alpha x}(C_1 \cos \beta x +C_2 \sin \beta x) &\quad& \text{($\lambda = \alpha \pm i\beta$,$\lambda$ が異なる共役な虚数解)} \end{array} \right. \end{eqnarray} $

ここで,$C_1, C_2, \alpha, \beta$ は実数定数です.
また,$\lambda$ が虚数解となるとき,オイラーの公式
\begin{align} e^{ix} = \cos x + \sin x \end{align}
を用いることで導出することができます.

ここから元の微分方程式 $y'' + py' + qy = R(x)$ を求める際に予想解を立てます.
ここの予想解が種類が多く存在します.

a.簡単な多項式

簡単と書きましたが,$\sin$ 関数や $\log$ 関数などの特殊なが含まれていない$n$次多項式のことを指します.
このような $R(x)$ の予想解は $R(x)$ と同じ次数を持つ多項式を予想解とすれば解けます.
ex.
$R(x) = 5x + 6$ のとき,$5x + 6$ より予想解は $ax + b$
$R(x) = 8x^2$ のとき,予想解は $ax^2 + bx + c$

b.$R(x) = Ae^{\lambda x}$ の形

これは,補助方程式の形によります.

補助方程式に$Ae^{\lambda x}$ を含む$Ae^{\lambda x}$ を含まない
$Axe^{\lambda x}$ を含む$ax^2 e^{\lambda x}$$ae^{\lambda x}$
$Axe^{\lambda x}$ を含まない$axe^{\lambda x}$-

この予想解の表を用いてもいいのですが,解の1つを $w(x)$ として $y = u(x)w(x)$ の形を考える方法もありますが,ここでは紹介しません.
気になる人は調べてみるといいと思います.

4.おわりに

自分が解説するのはここまでにしたいと思います.
一応自分のクラスメイト向けに作ったサイトなので,もっと気になる人は微分方程式や常微分方程式と書かれた本を読んでみるといいと思います.
それでは,お疲れさまでした!

参考文献

[1]
加藤 文元, 大学教養 微分積分, 数研講座シリーズ, 数研出版株式会社, 2019, pp. 321 ~ 342
投稿日:416
更新日:520
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投稿者

高専4年です. 編入で理学部数学科に行きたいです. 複素関数,複素解析が興味です.

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