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大学数学基礎解説
文献あり

数理生物学入門(2)〜細胞内での化学反応〜

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目次

・はじめに
・準備
・内容
・最後に

はじめに

どうも、色数です。
前回 に引き続き数理生物学で数学します。
今回は細胞内での事象を考えていきます。

準備

微分方程式と高校での基礎的な化学ができればok。

細胞内の生化学について

生命機能は多くの化学反応が法則を持って行われることで成り立っていますがその中心となっているものはタンパク質です。
タンパク質は酵素として化学反応を触媒したり構造体としても働きます。

化学反応を微分方程式で記述する

$A$という種類の分子1個と$B$という種類の分子$1$個が反応してくっついた$AB$という生成物ができる反応を考えてみます。
これを
$\displaystyle A+B\underset{k_2}{\overset{k_1}{\rightleftarrows}}AB$
$\rightarrow$$A,B$がぶつかって生成物$AB$ができることを、$\leftarrow $$AB$が分解して$A,B$に分かれることを表しています。
生成物$AB$の濃度変化$\displaystyle \frac{d[AB]}{dt}$
$\displaystyle \frac{d[AB]}{dt}=k_1[A][B]-k_2[AB]$
ここで$[]$は濃度を表しています。
平衡状態において上の濃度変化の式は$0$となるため、そこでは$A$の全体量$A_{total}$に対する生成物$AB$の比率は
$\displaystyle \frac{[AB]}{A_{total}}=\frac{[B]}{k_2/k_1+[B]}$
とわかり$B$の濃度とともに増加することがわかります。

次に$C$という種類の分子一個と$D$という分子$n$個の合成反応
$\displaystyle C+nD\underset{k_4}{\overset{k_3}{\rightleftarrows}}C(nD)$
これは同時に起こる反応ではなく連鎖的におこる反応を考えています。まず$CがD$とくっつきそれがまた$B$とくっつく、というようにして反応します。
もしこの中間の状態が不安定で直接的に観測できないとすれば上の$A,B$と同様に
$\displaystyle \frac{[C(nD)]}{C_{total}}\approx\frac{[D]^n}{K^n+[D]^n}$
という形でも書けます。
ここでの$n$ヒル係数と呼びこの式をヒル式といいます。

内容

ミカエリス-メンテン式

ある反応を起こす材料となるものを基質、反応後にできるものを生成物といいます。酵素は基質と結合することで反応速度を速くすることができます。ここで未結合の基質を$S$、酵素を$E$、それらが結合したものを$ES$とします。
$\displaystyle E+S\underset{k_2}{\overset{k_1}{\rightleftarrows}}ES\overset{k_3}{\rightarrow}E+P$
とすると
$\displaystyle \frac{d[ES]}{dt}=k_1[E][S]-k_2[ES]-k_3[ES]$

$\displaystyle \frac{d[P]}{dt}=k_3[ES]$
となります。
これを単純化するためには$ES$の状態が変化しないとし$\displaystyle \frac{d[ES]}{dt}=0$から酵素の総量を$E_{total}$とすると
$\displaystyle \frac{d[P]}{dt}=\frac{k_1k_3E_{total}[S]}{k_1[S]+k_2+k_3}$
となります。この酵素反応の速度を示す式をミカエリス-メンテン式といいます。

最後に

ミカエリス-メンテン式は数理生物学において非常に重要な式の一つであるので自分で追えてよかったです。

参考文献

[1]
巌佐 庸, 生命の数理
投稿日:414
更新日:417
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