前の記事でBrianchonの定理を証明したので今回はその双対であるPascalの定理も証明します.
Pascalの定理
次曲線上に点があるとき,との交点を,との交点を,との交点をとすると,は同一直線上にある.
とが平行なときはは無限遠点であると考え,を通る直線とが平行であることを意味します.つ以上が無限遠点の場合はつとも無限遠点であることを意味します.
この定理は次曲線で成り立ちますが,ここでは円の場合のみを証明します.
以下使う公式をまとめます.(知っている方は読みとばしてください.)
複素平面上に点があるとき,直線との交点の座標はで与えられる.
点が上にあるとき,すなわちとなる.(前の記事の補題3を参照)
同様に,が上にあるときとなるので,の交点の座標はこの連立方程式を解くことで求まり,となる.
点が単位円上にあるとき,直線との交点の座標はで与えられる.
本題に入ります.
場合分けで証明します.
がどれも無限遠点でないとき
定理から
がわかる.
これより,
すなわち
を示せばいいことになる.
ところで,前回の記事を見るとこれがになることは既に示してある.
のうちちょうどつが無限遠点であるとき
が無限遠点であると仮定してよい.
このとき,が成り立つ.
これより,
となって,
となる.
ここで,偏角を考えると単位円上の点については実数である.(複素数の平方根は符号が一意に定まらないがどちらの符号を取っても実数であるかに影響はない)
これより,は実数であり,とは平行であることがわかる.
のうちつ以上が無限遠点であるとき
(この場合を示す問題が2011年のJJMOにあります)
とが無限遠点であるとしてよい.
およびが成り立つのでとなり,も無限遠点である.
以上より証明できました.