1
大学数学基礎解説
文献あり

4n+1型素数を2つの平方数の和で表す方法

382
0

記号の定義

nを自然数
pを素数でp=4n+1であるものとします。

Fpを位数pの有限体
Fp2を位数p2の有限体
N(z)=zp+1Fp2の元zのノルムとします。
(xp)Fpの元xの平方剰余記号とします。
MFp2の元で、Fpに属さない元として、固定します。
D(z)Fp2の元zの判別式D(z):=(zpz)2とします。
Mod(x,p)Fpの元xを絶対値最小剰余で整数にする写像とします。

主張

Fpの元aに対して、
G(a)=N(z)=a,zFp2Mod((D(z)D(M))n,p)
G(a)を定義したとき、

平方非剰余な元b
(bp)=1
を用いて
p=(G(1)2)2+(G(b)2)2
が成り立つ。

証明

G(a)の別定義

Fp2の元z1Mを基底にして表すと、
z=x+yMxyFpの元)
は一意的に定まる。
このとき、zpz=y(MpM)が成り立つ。
このため、 D(z)D(M)=y2
(yp)=Mod(yp12,p)=Mod(y2n,p)
がオイラーの規準より成り立ち、

G(a)=N(z)=a,z=x+yM,zFp2(yp)となる。

G(a)の性質1

G(a)D(z)N(z)p乗写像で不変であり、
D(z)zp=zなら0のため、G(a)は偶数となる。
D(zp)=(zp2zp)2=(zzp)2=(zpz)2=D(z)
N(zp)=zp(p+1)=z1+p=N(z)

G(a)の性質2

tFpとしたとき、
G(t2a)=(tp)G(a)
となる、
G(t2a)=N(z)=t2a,zFp2Mod((D(z)D(M))n,p)       (z=tz)
=N(z)=a,zFp2Mod((D(tz)D(M))n,p)       (D(tz)=t2D(z))
=N(z)=a,zFp2Mod((tp)(D(z)D(M))n,p)       (Mod(ax)=aMod(x),a=±1,0)
=(tp)G(a)

この性質のため、
G(a)2aが平方剰余か平方非剰余かにのみにより決まる。

G(a)の性質3

N(z)=0z=0より
G(0)=(0p)=0

G(a)の性質4

M1を別の Fp2の元で、Fpに属さない元とします。このとき、
D(M)D(M1)は平方非剰余のため、比は平方剰余な数u2となります。
このため、G(a)MM1に変えたときは、上記uを用いて、
G(a)(up)倍されます。

補題

sFp2N(s)=1のとき、
s=v+wMならば
1=N(s)=(v+wMp)(v+wM)=v2+vw(Mp+M)+wMp+1
w=0ならv=±1

主張の証明

性質2と性質3より
aFpG(a)2=p12(G(1)2+G(b)2)

aFpG(a)2=aFp(N(z)=a,z=x+yM,zFp2(yp))2=aFp(N(z1)=a,z1=x1+y1M,N(z2)=a,z2=x2+y2M,z1,z2Fp2(y1p)(y2p))=N(z1)=N(z2)z1=x1+y1M,z2=x2+y2M,z1,z2Fp2(y1p)(y2p)=      (N(z1)=N(z2)z2=sz1,N(s)=1)N(s)=1z1=x1+y1M,z2=sz1,z2=x2+y2M,z1,sFp2(y1p)(y2p)=      

次の計算に基づきy2を書き換える。
s=v+wMz2=sz1=(v+wM)(x1+y1M)=vx1+vy1M+wx1M+wy1M2=vx1+vy1M+wx1M+wy1((Mp+M)MMp+1)=(vx1wy1Mp+1)+(vy1+wx1+wy1(Mp+M))M

v2+vw(Mp+M)+wMp+1=1x1,y1,v,wFp(y1p)(vy1+wx1+wy1(Mp+M)p)=      

y1=0ならその項は0、和の条件としてy0を課せる
x1y1x1に置き換える。

v2+vw(Mp+M)+wMp+1=1y10x1,y1,v,wFp(v+wx1+w(Mp+M)p)=      

(p1)v2+vw(Mp+M)+wMp+1=1x1,v,wFp(v+wx1+w(Mp+M)p)=      

w=0なら補題よりv=±1
w0ならv+wx1+w(Mp+M)x1に置き換えても、和の範囲は変わらない、

(p1)p(((1p))+((1p)))+(p1)pv2+vw(Mp+M)+wMp+1=1x1,v,wFp(x1p)=      

x1Fp(x1p)=0
のため第2項は0,第1項はp=4n+1のため、
(1p)=1より、

2(p1)p

はじめの式と合わせると、
2(p1)p=p12(G(1)2+G(b)2)
となり、主張が示された。

p=(G(1)2)2+(G(b)2)2

参考文献

投稿日:202231
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

kzaukzau
kzaukzau
24
4255

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 記号の定義
  2. 主張
  3. 証明
  4. 主張の証明
  5. 参考文献