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大学数学基礎解説
文献あり

4n+1型素数を2つの平方数の和で表す方法

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記号の定義

$n$を自然数
$p$を素数で$p=4n+1$であるものとします。

$ \mathbb{F}_{p}$を位数$p$の有限体
$ \mathbb{F}_{p^2}$を位数$p^2$の有限体
$N(z)=z^{p+1}$$ \mathbb{F}_{p^2}$の元$z$のノルムとします。
$ \left( \frac{x}{p} \right) $$ \mathbb{F}_{p}$の元$x$の平方剰余記号とします。
$M$$ \mathbb{F}_{p^2}$の元で、$ \mathbb{F}_{p}$に属さない元として、固定します。
$D(z)$$ \mathbb{F}_{p^2}$の元$z$の判別式$D(z):=(z^p-z)^2$とします。
$Mod(x,p)$$ \mathbb{F}_{p}$の元$x$を絶対値最小剰余で整数にする写像とします。

主張

$ \mathbb{F}_{p}$の元$a$に対して、
$$G(a)=\sum_{N(z)=a,z\in \mathbb{F}_{p^2}}{Mod( \left( \frac{D(z)}{D(M)} \right)^n ,p)}$$
$G(a)$を定義したとき、

平方非剰余な元$b$
$ \left( \frac{b}{p} \right)=-1 $
を用いて
$$p=(\frac{G(1)}{2})^2+(\frac{G(b)}{2})^2$$
が成り立つ。

証明

$G(a)$の別定義

$ \mathbb{F}_{p^2}$の元$z$$1$$M$を基底にして表すと、
$z=x+yM$$x$$y$$ \mathbb{F}_{p}$の元)
は一意的に定まる。
このとき、$$z^p-z=y(M^p-M)$$が成り立つ。
このため、 $$ \frac{D(z)}{D(M)}=y^2$$
$ \left( \frac{y}{p} \right)=Mod(y^{\frac{p-1}{2} },p)=Mod(y^{2n},p) $
がオイラーの規準より成り立ち、

$$G(a)=\sum_{N(z)=a,z=x+yM,z\in \mathbb{F}_{p^2}}{\left( \frac{y}{p} \right)}$$となる。

$G(a)$の性質1

$G(a)$$D(z)$$N(z)$$p$乗写像で不変であり、
$D(z)$$z^p=z$なら$0$のため、$G(a)$は偶数となる。
$D(z^p)=(z^{p^2}-z^p)^2=(z-z^p)^2=(z^p-z)^2=D(z)$
$N(z^p)=z^{p(p+1)}=z^{1+p}=N(z)$

$G(a)$の性質2

$t$$ \mathbb{F}_{p}の元$としたとき、
$$G(t^2a)=\left( \frac{t}{p} \right)G(a)$$
となる、
$$G(t^2a) \\ =\sum_{N(z)=t^2a,z\in \mathbb{F}_{p^2}}{Mod( \left( \frac{D(z)}{D(M)} \right)^n ,p)} \ \ \ \ \ \ \ (z=tz')$$
$$\\ =\sum_{N(z')=a,z'\in \mathbb{F}_{p^2}}{Mod( \left( \frac{D(tz')}{D(M)} \right)^n ,p)} \ \ \ \ \ \ \ (D(tz')=t^2D(z')) $$
$$=\sum_{N(z')=a,z'\in \mathbb{F}_{p^2}}{Mod(\left( \frac{t}{p} \right) \left( \frac{D(z')}{D(M)} \right)^n ,p)} \ \ \ \ \ \ \ (Mod(ax)=aMod(x),a= \pm 1,0)$$
$$=\left( \frac{t}{p} \right)G(a)$$

この性質のため、
$G(a)^2$$a$が平方剰余か平方非剰余かにのみにより決まる。

$G(a)$の性質3

$$N(z)=0 \Longleftrightarrow z=0$$より
$$G(0)={\left( \frac{0}{p} \right)}=0$$

$G(a)$の性質4

$M_1$を別の $\mathbb{F}_{p^2}$の元で、$ \mathbb{F}_{p}$に属さない元とします。このとき、
$D(M)$$D(M_1)$は平方非剰余のため、比は平方剰余な数$u^2$となります。
このため、$G(a)$$M$$M_1$に変えたときは、上記$u$を用いて、
$G(a)$$\left( \frac{u}{p} \right)$倍されます。

補題

$s\in \mathbb{F}_{p^2}$$N(s)=1$のとき、
$s=v+wM$ならば
$1=N(s)=(v+wM^p)(v+wM)=v^2+vw(M^p+M)+wM^{p+1}$
$w=0$なら$v=\pm 1 となる。$

主張の証明

性質2と性質3より
$$\sum_{a \in \mathbb{F}_{p}}G(a)^2=\frac{p-1}{2}(G(1)^2+G(b)^2)$$

$$ \sum_{a \in \mathbb{F}_{p}}G(a)^2=\sum_{a \in \mathbb{F}_{p}}{(\sum_{N(z)=a,z=x+yM,z\in \mathbb{F}_{p^2}}{\left( \frac{y}{p} \right)})}^2=\\ \sum_{a \in \mathbb{F}_{p}}{(\sum_{N(z_1)=a,z_1=x_1+y_1M,\\ N(z_2)=a,z_2=x_2+y_2M,\\z_1,z_2\in \mathbb{F}_{p^2}}{\left( \frac{y_1}{p} \right)\left( \frac{y_2}{p} \right)})}=\\ \sum_{N(z_1)=N(z_2)\\ z_1=x_1+y_1M,\\ z_2=x_2+y_2M,\\z_1,z_2\in \mathbb{F}_{p^2}}{\left( \frac{y_1}{p} \right)\left( \frac{y_2}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ (N(z_1)=N(z_2) \Longrightarrow z_2=sz_1,N(s)=1) \\ \sum_{N(s)=1\\ z_1=x_1+y_1M,\\ z_2=sz_1,\\z_2=x_2+y_2M,\\ z_1,s\in \mathbb{F}_{p^2}}{\left( \frac{y_1}{p} \right)\left( \frac{y_2}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ $$

次の計算に基づき$y_2$を書き換える。
$$ \\ s=v+wM\Longrightarrow z_2=sz_1=(v+wM)(x_1+y_1M)=\\ vx_1+vy_1M+wx_1M+wy_1M^2 = \\ vx_1+vy_1M+wx_1M+wy_1((M^p+M)M-M^{p+1})= \\ (vx_1-wy_1M^{p+1})+(vy_1+wx_1+wy_1(M^p+M))M \\ $$

$$ \\ \sum_{v^2+vw(M^p+M)+wM^{p+1}=1\\ x_1,y_1,v,w\in \mathbb{F}_{p}}{\left( \frac{y_1}{p} \right)\left( \frac{vy_1+wx_1+wy_1(M^p+M)}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ $$

$y_1=0$ならその項は$0$、和の条件として$y\neq 0$を課せる
$x_1$$y_1x_1$に置き換える。

$$ \\ \sum_{v^2+vw(M^p+M)+wM^{p+1}=1\\ y_1 \neq 0 \\ x_1,y_1,v,w\in \mathbb{F}_{p}}{ \left( \frac{v+wx_1+w(M^p+M)}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ $$

$$ \\ (p-1)\sum_{v^2+vw(M^p+M)+wM^{p+1}=1\\ x_1,v,w\in \mathbb{F}_{p}}{ \left( \frac{v+wx_1+w(M^p+M)}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ $$

$w=0$なら補題より$v= \pm 1 $
$w \neq 0 $なら$v+wx_1+w(M^p+M)$$x_1$に置き換えても、和の範囲は変わらない、

$$ \\ (p-1)p((\left( \frac{1}{p} \right))+(\left( \frac{-1}{p} \right)))+(p-1)p\sum_{v^2+vw(M^p+M)+wM^{p+1}=1\\ x_1,v,w\in \mathbb{F}_{p}}{ \left( \frac{x_1}{p} \right)}= \ \ \ \ \ \ $$

$$ \sum_{x_1 \in \mathbb{F}_{p}}{ \left( \frac{x_1}{p} \right)}=0$$
のため第$2$項は0,第$1$項は$p=4n+1$のため、
$\left( \frac{-1}{p} \right)=1$より、

$$2(p-1)p$$

はじめの式と合わせると、
$$2(p-1)p=\frac{p-1}{2}(G(1)^2+G(b)^2)$$
となり、主張が示された。

$$p=(\frac{G(1)}{2})^2+(\frac{G(b)}{2})^2$$

参考文献

投稿日:202231
OptHub AI Competition

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