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Seki-Bernoulli数とFaulhaberの公式

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Bernoulli数は、スイスの数学者Jacob Bernoulliと日本の和算家である関孝和によって、ほぼ同時期に、また独立に発見された。したがって、関Bernoulli数とも呼ばれる。関孝和の死後出版された括要算法(1712年)において、また、Bernoulliの死後出版されたArs Conjectandi(1713年)において、世に知られることとなった。

Faulhaber's formula

(1)
$$\sum_{k=1}^n k^p = \frac{1}{p+1}\sum_{j=0}^p (-1)^j\binom{p+1}{j}B_j n^{p+1-j}$$
$B_j$は第1種関Bernoulli数
(2)
$$\sum_{k=1}^n k^p = \frac{1}{p+1}\sum_{j=0}^p \binom{p+1}{j}B'_j n^{p+1-j}$$
$B'_j$は第2種関Bernoulli数

Faulhaberによって、少なくとも$p=17$の場合まで、$\sum_{k=1}^n k^p$の公式が計算されたが、係数$B_j$についての言及がなかったので、この公式の正式な発見者は、Jacob Bernoulliと関孝和ということになる。

($p=0$)
$$\sum_{k=1}^n k^0 = \frac{1}{1}\sum_{j=0}^{0} (-1)^j\binom{1}{j}B_j n^{1-j}$$
これより、$n=B_0 n$ ゆえに $B_0=1$ である。
$$\sum_{k=1}^n k^0 = \frac{1}{1}\sum_{j=0}^{0} \binom{1}{j}B'_j n^{1-j}$$
これより、$n=B'_0 n$ ゆえに $B'_0=1$ である。

($p=1$)
$$\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}\sum_{j=0}^{1} (-1)^j\binom{2}{j}B_j n^{2-j}$$
これより、
$$\frac{n(n+1)}{2}=\frac{1}{2}B_0n^2-\frac{1}{2}2B_1n$$
ゆえに $B_1=-\frac{1}{2}$
$$\sum_{k=1}^n k = \frac{1}{2}\sum_{j=0}^{1} \binom{2}{j}B'_j n^{2-j}$$
これより、$B'_1=\frac{1}{2}$

微分・差分

$x$についての関数$f(x)$について
$$D_x f(x) := \frac{df}{dx}(x)$$
$$\Delta_x f(x) := f(x+1)-f(x)$$

関Bernoulli 多項式
  1. $D_x B_n(x) = n B_{n-1}(x)$
  2. $\Delta_x B_n(x) = D_x x^n=nx^{n-1}$
    $B_n(0)=B_n$また$B_n(1)=B'_n$とおく。

ここからFaulhaberの公式を導くことが可能である。

Taylorの展開公式により、
$$f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(x-a)^n}{n!}D_x^n f(a)$$
ただしここで$x$は、$a$を中心とする$f$の収束半径内にあるものとする。また、$D_x^nf(x):=\frac{d^nf}{dx^n}(x)$とする。$D_x^n f(a)$$D_x^n f(x)$$x=a$を代入した値のことである。
$f(x)=B_m(x)$とすると、多項式なので$0$を中心に収束半径$\infty$でTaylor展開が可能である。
$D_x^n B_m(x)$は(1)をくり返し用いることにより、$m(m-1)\cdots(m-n+1)B_{m-n}(x)$となる。Taylorの展開公式を適用すると、
$$B_m(x)=\sum_{n=0}^m \binom{m}{n}(x-a)^n B_{m-n}(a)$$
を得るので、$a=0$とすると、関Bernoulli 多項式の別の定義式ができる。
次に、$$\sum_{k=1}^n k^p=\sum_{x=1}^n \frac{D_x x^{p+1}}{p+1}=\sum_{x=1}^n \frac{\Delta_x B_{p+1}(x)}{p+1}=\frac{B_{p+1}(n+1)-B_{p+1}(1)}{p+1}$$である。ここで、$$B_{p+1}(n+1)=\sum_{j=0}^{p+1} \binom{p+1}{j}n^j B_{p+1-j}(1)$$を用いると、
$$\sum_{k=1}^n k^p=\frac{1}{p+1}\sum_{j=1}^{p+1} \binom{p+1}{j}n^j B_{p+1-j}(1)= \frac{1}{p+1}\sum_{l=0}^p \binom{p+1}{l}B'_l n^{p+1-l}$$
となってFaulhaberの公式を得ることができる。

$B_n(x)$の指数型母関数

$$F(z;x)=\sum_{n=0}^{\infty} B_n(x) \frac{z^n}{n!}=\frac{ze^{xz}}{e^z-1}$$

まず形式的に(2)から(1)を導くことが可能であることが観察できる。
(2)の両辺を$\Delta_x$でわると
$$B_n(x)=\frac{D_x}{\Delta_x}x^n$$
両辺に$D_x$を乗じると
$$D_xB_n(x)=\frac{D_x}{\Delta_x}D_x x^n=\frac{D_x}{\Delta_x}nx^{n-1}=nB_{n-1}(x)$$
となる。
次に(2)より
$$\Delta_x F=\sum_{n=0}^{\infty} \Delta_x B_n(x) \frac{z^n}{n!}=\sum_{n=0}^{\infty} D_x x^n \frac{z^n}{n!}=D_x \sum_{n=0}^{\infty} \frac{(xz)^n}{n!}=D_x e^{xz}$$
となるから、$F(z;x+1)-F(z;x)=ze^{xz}$について、
両辺を$x=0$から$x=t-1$まで和をとると、
$$F(z;t)-F(z;0)=z\sum_{x=0}^{t-1}e^{xz}=z\frac{e^{tz}-1}{e^z-1}$$
となるので、$t$$x$で置き換えると、
$$F(z;x)-F(z;0)=z\frac{e^{xz}-1}{e^z-1} \cdots (a)$$
を得る。
$F$$D_x$を作用させると、
$$D_x F=\sum_{n=0}^{\infty} D_x B_n(x) \frac{z^n}{n!}=\sum_{n=1}^{\infty} n B_{n-1}(x) \frac{z^n}{n!}=z\sum_{n=0}^{\infty} B_{n}(x) \frac{z^n}{n!}=zF(z;x) \cdots (b)$$
を得る。
ただしここで、$B_n(x)=\sum_{k=0}^n\binom{n}{k}x^kB_{n-k}$より$B_0(x)=B_0=1$を利用している。
$(a)$の両辺に$D_x$を作用させると
$$D_x F=z^2\frac{e^{xz}}{e^z-1}$$
となるが、これが$(b)$に一致するので、
$$F(z;x)=z\frac{e^{xz}}{e^z-1}$$
である。

$B'_n=(-1)^n B_n$
$B_{2m+1}=0 \ \ (m \geqq 1)$

$$F(-z;0)=\frac{-z}{e^{-z}-1}=\frac{ze^z}{e^z-1}=F(z;1)$$であるので、係数を比較して$B_n(1)=(-1)^n B_n(0)$である。
$$F(z;0)=\frac{z}{e^z-1}$$について、$B_0=1,B_1=-\frac{1}{2}$だから$$\sum_{n=2}^{\infty} B_n \frac{z^n}{n!}=\frac{z}{e^z-1}-1+\frac{1}{2}z$$であるが、$$\frac{z}{e^z-1}+\frac{1}{2}z$$は偶関数なので、$n$$3$以上の奇数であれば、$B_n=0$となる。

投稿日:2022322
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DIO
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