以下の証明の大まかな方針は、参考文献[1]で紹介されていた参考文献[2]での議論に沿ったものです。
の各元に対し、成分入れ替えによって次対称群を作用させることを考える。軌道空間がに同相であることを示せ。
題意の作用のもとでのの軌道をと書くことにし、写像をとおく。はを等化写像とする商空間である。ここで、
well-definedness(値が代表元の取り方に依らないことと、が存在すること)、正定値性、および対称性は明らか。あとは三角不等式の成立を示せばよい。とする。このとき、の定義式のを達成する permutationがとれて
が成り立つ。よって
がいえた。
の位相をとおき、距離によりに定まる位相をとおくと、
であること:
とする。目的の包含を示すには、を中心とする或る開球 w.r.t.がに包まれることを示せばよい。いまだからである。ここではの開集合の元だから、の普通のノルムをと書くことにすれば
である。そこでとおく。とする。の定義式のを達成する permutation がとれることから
である。このとき
である。よって、ゆえにである。よって、中心の開球がに包まれることがいえた。
であること:
はが連続となるような最も細かい位相だから、目的の包含を示すにはがに関し連続であることを示せばよい。とする。の点での連続性をいうために、を示す。そこでとおく。とすると
だから
よってである。したがってがいえた。
以上でが示せた。
からへの同相写像を構成する。そのために、まず写像を次のように定める:
ただしは次数の基本対称式である (e.g. )。は明らかに連続である。また、
とする。代数学の基本定理より、多項式
は上に重複度を込めてちょうど個の根を持つ。このとき、根と係数の関係よりである。したがっての全射性がいえた。
が連続全射であることがいえたから、商空間の普遍性より、をみたす連続全単射が存在する。逆写像をとおく。ここで、各に対し、多項式
の因数分解は
と表せるが、は明らかにを軌道に対応付ける写像である。さて、がとの間の同相写像であることを示すには次をいえばよい。すなわち、
の連続性をいうには、多項式の零点が係数に対して連続的に変化するという事実を用いる。その証明には Rouché の定理を用いる。正確には以下の通りである。
とする。とする。の点での連続性をいうために、
を示す。ここで、はを係数とするモニック多項式、すなわち
と定める。因数分解は
と表せる。ここで、或るがとれて、中心半径の円周らが pairwise disjoint であるようにできる。とおく。らの定め方から
である。ここでとおくと、各withとに対し
が成り立つ。このような各に対し、Rouché の定理より、各円周に囲まれた領域上で多項式は重複度を込めて同じ個数の零点を持つ。また、より、はこれら以外の零点を持たない。したがってである。よっての連続性がいえた。
したがってがとの間の同相写像であることが示せた。