「Kroneckerの稠密定理と1の累乗根」という題となっているのでまずKroneckerの稠密定理について解説する。
言い換えれば、「無理数の自然数倍の小数部分による集合は、区間
一例を示してみよう。これは私が自ら運営する数学サークルのメンバーに出題した問題の一部で、それ自体の難易度は高くない。
集合
(1) 自然数
(2) 集合
(1)は数学AやⅡで扱うような簡単な問題。
厳密には素因数がすべて偶数であることはこの場合必要十分条件であるが、反証をするならばこれで問題ない。
(2)も数学Ⅱで扱う定番問題のようなものだが、題材としてKroneckerの稠密定理と関わっている。
2は平方数ではないので、(1)より
これによって、無理数の自然数倍の集合の異なる要素の小数部分は異なるということは言えたが、区間を埋め尽くすことができるかは示せていない。しかしそうであろうという予測をつけることはできる。
それではKroneckerの稠密定理の証明に入ろう。例で示した「無理数の自然数倍ばそれぞれ異なる」という事実を前提に使っていて、証明では鳩ノ巣原理を利用している。鳩ノ巣原理も興味深いテーマなので、そのうち扱ってみたいと思っている。
(i)
(ii)
このようにKroneckerの稠密定理が証明される。証明過程も大事だが、この事実と、それをどう使うかもとても重要である。ここから1の累乗根について話すこともできるが、次回は少し寄り道してみる。