変分法の練習として,2次元平面での最短経路問題を陽関数表示にせず2次元のまま解くことを試みる.
2点
AとBを結ぶ曲線
この問題は拡大,回転,平行移動を行うことによって点
そんな部分を含む曲線は明らかに解にならないため別途除いてしまえば良いのだが,今回は2次元平面上の媒介変数表示のまま,変換を行わない状態で解いてみる.
1次元(関数が1つ)の場合はネットで検索すると多くの解説が出てくる([1]など).
2次元にしても大して変わりはないが,記号がややこしく混乱しやすいため一応最初から書き下してみる.
本題は[
#最短経路を求める
]へ.
パラメータ表示された曲線
に関する汎関数
(作用と呼ばれる)を最小化する問題を考える.
ただし,
(ただし,微小変化は端点が固定されている i.e.
被積分関数を微小な変化について1次近似で展開すると
(ただし
ここで,
また,微分の計算法則より
作用の話に戻ると,後々定積分されるので,この項についての積分を考えると,
とみなせる.
となる.
これが任意の微小な
これが2関数の場合のいわゆる「Euler–Lagrange方程式」である.
というよく目にする表記となる.
これはあくまで略記であり,慣れないうちは混乱を生みやすいので本記事では上記の表記を用いている.
のように一般化できる.
関数の
2点
で長さが最短であるものを求める.
ここで,
(微分不能な点が有限個であればそれぞれ区間で分割してから以下の帰結より最短経路が折れ線となるので,これが一直線より長さが大きいことを幾何的に示せる)
変分法の議論から,
の解となる.
よって
となる.
であるから,
(適宜,積分定数をつけた.)
同様に,
(i)
このような
よって解は直線
(ii)
同様に,
これらから,解はともに直線
他の
東大入試の有名な問題に「円周率が3.05より大きいことを証明せよ。(2003年第6問)」([3])というものがある.
セオリーとしては円に内接する正多角形の面積または周の長さを求め,そこから
面積を使って求める場合,周長の場合と同じ評価精度を得るには
これは一見明らかであるが非ユークリッド空間("平ら"ではない空間)では成り立たない.長距離を結ぶ旅客機の航路が(メルカトル図法などでの)地図上での直線にならず,大圏コースと呼ばれる大円を通るものとなるのが一例である.
(面積の場合,ある図形が他の図形に内包されているとき,測度の定義から明らかに前者のほうが面積が小さいのでスムーズに行く.)
半径1の円に内接する正
この正
一方,中心角
辺々を
が得られる.
ここで
以上より