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冪剰余記号に関する数値実験の結果 証明追記

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この記事の執筆の動機

いくつかの小さな素数で次のような性質が成り立つことがわかりました。

定義

$l$を奇素数とします。
奇素数$p$$l$で割って$1$余る素数とします。
$\alpha_p$を平方非剰余な有限体$\mathbb{F}_{p}$の元とします。
有限体$\mathbb{F}_{p^2}$の部分集合$A$$B$を次で定めます。
$A= \lbrace a\ \ \ | a^{p+1}=1\rbrace \\ B= \lbrace b\ \ \ | b^{p+1}=\alpha_p\rbrace $

冪剰余記号の定義

$F(x,p,l)$を有限体$\mathbb{F}_{p}$の乗法群から
複素数体の$1$$l$乗根のなす乗法群への非自明な準同型写像を
0に対しては、0となる拡張することで定めた写像とします。

その他定義

$$Tr(x)=x^p+x$$
$|x|^2$ 複素数の絶対値の$2$

小さな素数で成り立った性質

$$ \mathcal{A} _{p,l}=\sum_{a \in A}{F(Tr(a),p,l)}$$
$$ \mathcal{B} _{p,l}=\sum_{b \in B}{F(Tr(b),p,l)}$$
$$4p=| \mathcal{A} _{p,l}|^2+| \mathcal{B} _{p,l}|^2$$

$ \mathcal{A} _{p,l}, \mathcal{B} _{p,l}$の性質

$F(x,p,l)$は巡回群からの準同型写像であり、$\frac{(p-1)}{l}$が偶数のため、
$F(x,p,l)$の核に$-1$を含む、
$A$$B$ともに$-1$倍で不変で、$0$を含まないため、
$F(Tr(a),p,l)=F(Tr(-a),p,l)$
このため、$ \mathcal{A} _{p,l}, \mathcal{B} _{p,l}$$l$次円分体の整数環上で$2$の倍数

求む反例か証明

小さな素数でのみ成り立ったので、
すべての素数で成立するか分かりません、
どなたか反例か証明を頂ければ幸いです。

偶数のとき

$p=8k+1$のとき、$F(x,p,4)$とすれば、いくつかの、素数で$$4p=| \mathcal{A} _{p,4}|^2+| \mathcal{B} _{p,4}|^2$$が成立しました。

4月23日追記 証明

$ \theta_p (x)$$\mathbb{F}_{p}^{ \times }$の非自明なディリクレ指標で、
$ \theta_p(-1)=1 $を満たすものとします。

$ \theta_p (x)$の性質

$k,m$$\mathbb{F}_{p}$の元としたとき
$ \theta_p (x)$の性質1 $$ \theta_p (km)= \theta_p (k) \theta_p (m)$$
$ \theta_p (x)$の性質2 $$ |\theta_p (k)|^2=1$$
$ \theta_p (x)$の性質3 $$\sum_{k\in \mathbb{F}_{p}}\theta_p(k)=0$$

定義の刷新

$N(z)=z^{p+1}$

$$ \mathcal{S} _{p,\theta_p,s}=\sum_{N(z)=s\\z\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z))}$$

$|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2$の性質

$k$$\mathbb{F}_{p}^{\times}$の元とする。
$z=kz^\prime$で次の式を置き換えると、
$Tr(kz)=kTr(x)$$N(kz)=k^2N(z)$$ \theta_p (x)$の性質から
$$|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2=\lbrace\sum_{N(z)=s\\z\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z))}\rbrace\lbrace \overline{\sum_{N(z)=s\\z\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z))}}\rbrace =\\ \lbrace\sum_{N(z^\prime)=k^{-2}s\\z^\prime\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z^\prime))}\rbrace\lbrace \overline{\sum_{N(z^\prime)=k^{-2}s\\z^\prime\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z^\prime))}}\rbrace=|\mathcal{S} _{p,\theta_p,k^{-2}s}|^2 $$
この式より
$|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2$$s$に関して平方非剰余か非剰余か$0$かのみに依存する。

その他定義や補題

$M$$M\in\mathbb{F}_{p^2}$で、
$M \notin\mathbb{F}_{p}$とします。
以下簡単のため$M^p=-M$とします。
以下$1とM$を基底として利用します。

$x$の定義
$x\in\mathbb{F}_{p^2}^{ \times }$
$N(x)=1$
$x=x_1+x_2M$

$x$の性質
$x^p=x_1-x_2M$
$1=N(x)=x^{p+1}=x_1^2-x_2^2M^2$
もし $x_2=0$なら$x_1= \pm 1 $

証明

$$\sum_{s\in\mathbb{F}_{p}^{ \times }}|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2\\ =\sum_{s\in\mathbb{F}_{p}^{ \times }} \lbrace\sum_{N(z)=s\\z\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(z))}\rbrace\lbrace \overline{\sum_{N(w)=s\\w\in\mathbb{F}_{p^2}}{\theta_p(Tr(w))}}\rbrace \\ =\sum_{z\in \mathbb{F}_{p^2}^{ \times } }{\sum_{N(x)=1}{\theta_p(Tr(z))\overline{\theta_p(Tr(xz))}}} $$
$(z=z_1+z_2M)$

$$=\sum_{z_1,z_2\in \mathbb{F}_{p}^{ \times } }{\sum_{N(x)=1}{\theta_p(2z_1)\overline{\theta_p(2(z_1x_1-z_2x_2M^2))}}}\\ =\sum_{z_1,z_2\in \mathbb{F}_{p}^{ \times } \\ z_1 \neq 0}{\sum_{N(x)=1}{\overline{\theta_p(x_1-\frac{z_2}{z_1}x_2M^2)}}} $$
$(x_2=0)と(x_2\neq 0) $に分けると
$(x_2=0)なら(x_1=\pm1)$
$(x_2\neq 0) $なら$z_1$を固定したとき,$z_2$を動かすと
$(x_1-\frac{z_2}{z_1}x_2M^2)$$F_p$全体を動くので。
$θ_p(x)$の性質3より$0$

$$=\sum_{z_1,z_2\in \mathbb{F}_{p} \\ z_1 \neq 0}{{\overline{\theta_p(\pm1)}}}=2(p-1)p$$
$\theta_p(-1)=1$を用いた。

$|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2$の性質より

$$\sum_{s\in\mathbb{F}_{p}^{ \times }}|\mathcal{S} _{p,\theta_p,s}|^2=\frac{p-1}{2}(|\mathcal{S} _{p,\theta_p,1}|^2+|\mathcal{S} _{p,\theta_p,\alpha_p}|^2)$$
合わせると
$$ \frac{p-1}{2}(|\mathcal{S} _{p,\theta_p,1}|^2+|\mathcal{S} _{p,\theta_p,\alpha_p}|^2)=2(p-1)p$$

$$|\mathcal{S} _{p,\theta_p,1}|^2+|\mathcal{S} _{p,\theta_p,\alpha_p}|^2=4p$$
証明終わり

投稿日:2022421

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