10

tanの和

469
0

この記事では, 奇素数pについて n=1p1(np)tan2nπp という和を考えます.

(np)はLegendre記号
ζ=ζp:=e2iπp
τp:=n=1p1(np)ζn

p1(mod4) のときに0となるのは明らかですが, p3(mod4)のときはどうなるでしょうか.
小さい素数で例を挙げると,
tan2π3tan4π3=23
tan2π7+tan4π7tan6π7+tan8π7tan10π7tan12π7=27
tan2π11tan4π11+tan6π11+tan8π11+tan10π11tan12π11tan14π11tan16π11+tan18π11tan20π11=611
となります.
これの一般項とその証明をこれから述べていきます.

準備

次の関数を考えます.

fp(x)=n=1p1(np)11ζnx

このとき,次が成り立ちます.

fp(x)=τp1xpn=1p1(np)xn

|x|<1について示す.
fp(x)=n=1p1(np)11ζnx=n=1p1(np)m=0ζmnxm=m=0xmn=1p1(np)ζmn=m=0xm(mp)n=1p1(np)ζn=τpm=0xm(mp)=τpm=0k=0p1xmp+k(mp+kp)=τpk=0p1(kp)xkm=0xmp=τp1xpk=1p1(kp)xk
また, |x|<1で成り立つので一致の定理より特異点を除いて成り立つ.

本題

p3(mod4) とします.
tan2nπp の形をどうやって作るかを考えます.
sinθeiθの虚部であったことを考えると,
tan2nπp=Im(cos2nπp+isin2nπpcos2nπp)=Im21+ζ2n
となります.
ということで, ここからは代わりに Sp=n=1p1(np)21+ζ2n を考えればいいことがわかります.

補題を使うと,
Sp=2(2p)n=1p1(np)11+ζn=2(2p)fp(1)=(2p)τpn=1p1(1)n(np)
となります.

ここで, p3(mod4) より (2p)=(1)p34 となります.
また, τp=ip となる(証明は知りませんが結果だけ引用します)ので, Sp=(1)p34ipn=1p1(1)n(np) となり, 虚部を見ると
n=1p1(np)tan2nπp=(1)p34pn=1p1(1)n(np)
とわかります.

p3(mod4) となる素数pに対して,
n=1p1(np)tan2nπp=(1)p34pn=1p1(1)n(np)

また, modp の平方剰余のうち 1 以上 p12 以下のものの個数を ap とすると, n=1p1(1)n(np)=(2p)(4app+1)となるのでn=1p1(np)tan2nπp=p(p14ap)とできます.

投稿日:2022427
更新日:202472
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

tria_math
tria_math
531
44481
大学2年生

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 準備
  2. 本題