とある無限級数の公式集を眺めていたとき,次のような等式を目にしました.
この等式は,有名な交代級数
と部分分数分解から従います.更にその公式集を眺めていると,次のような等式も出現しました.
1つ目の公式は部分和を積分で評価してはさみうつと示せます.2つ目の公式は
を用いる方法で級数の値を推測することはできますが,途中で和の順序交換を行うため,厳密性に欠けます.3つ目の公式はそのどちらの方法も上手くいかず,大変困りました.
そこで,何か一般的に通用する方法がないかなあと探していると,Stack Exchangeで良い方法を見つけたので,ここに記そうと思います.
まず,これから解きたい問題をきれいに述べます.
2以上の整数
とおく.
ここで
では早速計算を始めます.まず,足す項の分母が2重階乗の一部であることに注目します.
が成り立つことから,
と書けます.ここで,オイラーのガンマ関数を用いると,1以上の整数
が成り立つので,
と計算できます.最後の等式の
が成り立ちます.第2項の積分は,
と計算できるので,
と表されます.結構キレイですね.因みにぱっと見この積分は広義積分に見えますが,被積分関数は
と書け,任意の
次の等式が成り立つ.
前節で得られた積分を実行して
上で得られた被積分関数を見ていると,留数定理の使用がぼんやりと見えてきたので,この節では,
の値を求めようと思います.まず,等式
に注目します.第2項において
が成り立つので,
となります.更に,
が成り立ちます.最後の積分は留数定理を用いる典型例ですね.被積分関数を
とおきます.
と計算できます.従って,上半平面内の半径
と求まります.これより次の定理を得ます.これまたなかなかキレイだと思います.
今得られた式で
となって,上で示した値と等しくなります.また
となって,ちゃんと上で示した値と等しくなっています.
上記の計算から,
また,
今回の記事は以上です.
最後までお読み頂きありがとうございました.
子葉さんのコメントによって
次が成り立つ.
また,次のようにも書ける.
また,
まず,部分分数分解
において
となるので,これを積分して
となります.最後の等式において和を取る変数を
を得ます.従って,
となります.これより上で得た値と同じ値を得ることができました.