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大学数学基礎解説
文献あり

赤雪江2.1節のまとめノート作ってみた

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はじめに

今回は2.1節(群の定義)をまとめます。誤植などはtwitterかdiscordでお願いします。

群の基本事項

演算

$X$が集合であるとき,写像$\phi : X \times X \rightarrow X$を集合$X$演算という.

混乱の恐れがない場合, $\phi(a,b)$の代わりに$ab$と書く.

早速群を定義しましょう!

$G$を空集合ではない集合とする.$G$上の演算が定義されていて次の性質を満たすとき, $G$という.

  1. 単位元とよばれる元$e \in G$があり, 任意の$a \in G$に対し$ae = ea = a$となる.

  2. 任意の$a \in G$に対し, $ab = ba = e$となる$b \in G$が存在する.
    この$b$は$a$の逆元とよばれ, $a^{-1}$と書く.

  3. 任意の$a,b,c \in G$に対し, $(ab)c = a(bc)$が成り立つ.

単位元を$1_G$などと書くときもある.

大雑把に説明すると、群とは、ある演算が定義されていて幾つかの性質を満たしている集合であるといえます。

可換群

$a,b$が群$G$の元で$ab = ba$なら, $a,b$可換であるという. また,任意の$a,b \in G$が可換なら, $G$可換群という.

$G = \mathbb{Z}, \mathbb{R}, \mathbb{Q}$は加法により可換群であり, 単位元は$0$で, $a \in G$の逆元は$-a$である.

$G = \mathbb{Z}$は乗法に関して群にならない. なぜなら, $2n = 1$(1は単位元にしたい数)となる整数$n \in \mathbb{Z}$は存在しないからである.

位数

$G$が群であるとき,その元の個数$\left\lvert G\right\rvert $$G$位数という.

位数が有限な群のことを有限群という. 有限群でない群を無限群という.

$G$$a \in G, \, n \in \mathbb{N}$に対し,$a^{0} = 1, \,\, a\circ \cdots \circ a$ ($a$$n$回かける)$= a^{n}, \,\, $ $a^{-n} = {(a^{n})}^{-1}$ と定義する.

$G$$a \in G, \, n,m \in \mathbb{Z}$に対し,$a^{n+m} = a^{n}a^{m}, \,$ ${(a^{n})}^{m} = a^{nm}$である.

概略

$n$$m$の正負に着目して場合分けをすると示すことができる.

$G$は群で, $x,y,z,w \in G$とする. このとき,$x\left(\left(yz\right) w\right) = \left(xy\right) \left(zw\right)$が成り立つ.

群の定義より,$x\left(\left(yz\right) w\right) = x\left(y\left(zw\right)\right) = \left(xy\right) \left(zw\right)$

上の命題から, 積の前後を変えない限り,群の積の順序は問題にならないことが分かる. よって, 以降,群の積を括弧なしに表しても良いこととする.

$G$が群で, $a,b,c \in G$なら, 次の (1), (2)が成り立つ.

  1. $ab = ac \Rightarrow b = c$

  2. $ab = c \Rightarrow b = a^{-1}c, \, a = cb^{-1}$

  1. $b = a^{-1}ab = a^{-1}ac = c$

  2. $b = a^{-1}ab = a^{-1}c$であり, $a = abb^{-1} = cb^{-1}$

$G$を群とする.

  1. 群の単位元は一つのみである.

  2. $a \in G$に対し, その逆元は一意に定まる.

  3. $a,b \in G \Rightarrow {\left(ab\right)}^{-1} = b^{-1}a^{-1}$

  4. $a \in G \Rightarrow {\left(a^{-1}\right)}^{-1} = a$

  1. $e,e'$がともに単位元であると仮定すると,$ee' = e = e'$となるから, 単位元が一意であることが分かる.

  2. $b, b'$がともに$a$の逆元であると仮定すると,$b = \left(b'a\right)b = b'\left(ab\right) = b'$となるから, 逆元が一意であることが分かる.

  3. $\left(b^{-1}a^{-1}\right)ab = b^{-1}\left(a^{-1}a\right)b = b^{-1}b = 1$.
    同様に, $ab\left(b^{-1}a^{-1}\right) = 1$が成り立つので,$b^{-1}a^{-1}$は$ab$の逆元である.

  4. $aa^{-1} = a^{-1}a = 1$だが,これは「$a^{-1}$の逆元は$a$である」とも取ることができる. つまり,${\left(a^{-1}\right)}^{-1} = a$である.

置換

置換

$X$を集合とする.$X$から$X$への全単射写像$\sigma : X \rightarrow X$$X$置換という.
また, $\sigma, \tau$$X$の置換とすると,その積$\sigma\tau$を写像としての合成 $\sigma \circ \tau$と定義する.

集合$X$の置換全体の集合$\mathfrak{S}(x)$は積に関して群である.

概略

$\sigma,\tau \in \mathfrak{S}$とする($\sigma,\tau$は全単射写像であることに注意).
$\sigma\tau \in \mathfrak{S}$
・定義6後段より, 結合法則が成り立つ
・単位元は恒等写像$\mathrm{id}_{X}$
・逆元は$\sigma$の逆写像$\sigma^{-1}$

集合$X$の置換全体からなる群を$X$置換群という. また,$X_{n} = \left\{1,2,\cdot \cdot \cdot ,n\right\}$ とするとき,$X_{n}$の置換を$n$次の置換という.$n$次の置換全体からなる群のことを$n$次対称群といい,$\mathfrak{S}_{n}$で表す.

$X$を集合とする. 相異なる数字$i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r \in X$に対し,巡回的に$\sigma(i_1)=i_2, \, \sigma(i_2)=i_3, \, \cdot \cdot \cdot, \, \sigma(i_r)=i_1$となり, $i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r$以外の数字を固定する置換を,長さ$r$の巡回置換といい, $(i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r)$で表す. 特に, 長さ2の巡回置換を互換という.

最後に個人的に好きな定理を証明して終わりにします。

$(i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r) = (i_1, i_r)(i_1,i_2,\cdot \cdot \cdot,i_{r-1})$

$\sigma = (i_1,i_r),\, \tau = (i_1,i_2,\cdot \cdot \cdot,i_{r-1}),\, 1 \leqq k \leqq r-2$とすると,
$\sigma \tau(i_{k}) = \sigma(i_{k+1}) = i_{k+1}$,
$\sigma \tau(i_{r-1}) = \sigma(i_1) = i_r$,
$\sigma \tau(i_r) = \sigma(i_r) = i_1$より, $\sigma \tau = (i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r)$

任意の巡回置換は, 幾つかの互換の積で表される.

補題6を繰り返し適用することにより,
$(i_1,\cdot \cdot \cdot,i_r) = (i_1, i_r)(i_1,i_2,\cdot \cdot \cdot,i_{r-1}) = (i_1,i_r)(i_1,i_{r-1})(i_1,i_2,\cdot \cdot \cdot,i_{r-2}) \cdot\cdot\cdot = (i_1,i_r)(i_1,i_{r-1}) \cdot\cdot\cdot (i_1,i_2)$
が得られる

おわりに

おつかれさまでした。正直、私は置換のところが苦手なのでミスとかがあったら教えてください。
ではでは!

参考文献

[1]
雪江明彦, 代数学1 群論入門, 日本評論社, 2010
投稿日:2022521
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Caramel
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