ほぼ自分用メモです。
可換環の素イデアルや極大イデアルを知ることは代数幾何学ではとても大切。
極大イデアルは素イデアルである。
例えば [青雪江 系1.7.4].
以下 $A$ を可換環とする。
考える可換環を、体らしく $k$ という文字で表す。
体 $k$ のイデアルは $(0)$ と $k$ 自身しかない。これらは自明なイデアルとよばれる。[青雪江 例1.3.25]
実は、「$k$が体 $\Leftrightarrow$ $k$ は自明でないイデアルを持たない」が言える。[青雪江 命題1.3.34]
つまり、
$$
\Spec k = \{(0)\},
$$
$$
\Spm k = \{(0)\},
$$
※ $A$(ここでは $k$)自身は素イデアルや極大イデアルとはみなさないことに注意する。
まず、
単項イデアル整域 (PID) $\Longrightarrow$ 一意分解整域 (UFD)
であることを思い出す。
さらに、
$A$ が単項イデアル整域なら (0) でない任意の素イデアルは極大イデアルである。
$A$ を整域とする。 $A \ni a \neq 0$ とする。
(a) $a$ で生成されるイデアル $(a)$ が素イデアルのとき、 $(a)$ を素元という。
(b) $a$ が単元でなく、 $b, c \in A$ で $a = bc$ なら $b$ または $c$ が $A$ の単元になるとき、 $a$ を既約元という。既約でない元は可約であるという。
$A$ が整域なら、 $A$ の素元は既約元である。
$A$ が一意分解整域なら、既約元は素元である。
以上より
$A$ が単項イデアル整域なら、
$$
\Spec A = \left\{(0)\right\} \cup \left\{(p) \mid p \text{ は } A \text{ の素元 (=既約元)} \right\}
\
$$
$\mathbb{Z}$ は PID である。
$\mathbb{Z}$ の素元はなにか? → $\{\pm p \in \mathbb{Z} \mid p \in \mathbb{N} \text{ は素数}\}$ である。 (素元の定義と素数の定義を見ればわかる。)
したがって、
$$
\Spec \mathbb{Z} = \{(0)\} \cup \left\{(p) \mid p \in \mathbb{N} \text{ は素数}\right\},
$$
$$
\Spm \mathbb{Z} = \left\{(p) \mid p \in \mathbb{N} \text{ は素数}\right\},
$$
(↑ なぜならば、極大⇒素、 (0)でない素⇒極大、 (0) は極大でない (たとえば $(0) \subset (2)$) なので。)
である。($(p)$ と $(-p)$ は同じであることに注意する。)
---- 以下書きかけ ----