0
大学数学基礎議論
文献あり

ばこてんとかSchutzの行間補完したい

42
0

ばこてんとかSchutzの行間補完したい

動機 => おそらく線型代数(と多様体あたり(からのテンソル解析))の知識が足りなくて死んでるから軽くそこらへんを見たい。

まだ編集するかもしれない。

線型代数の部分

テンソルの実体をとりあえず知るための最短ルートっぽくはなってると思う。

線型空間

K上の線型空間Vとは、集合Vであって、2つの2項演算

  • V×VV ; (x,y)x+y (和)
  • R×VV ; (λ,x)λx=λx (スカラー倍)
    が与えられ、以下の性質を満たすものをいう。
  1. x,yVx+y=y+x (交換律)
  2. x,y,zVx+(y+z)=(x+y)+z (結合律)
  3. xVyVx+y=y
    この論理式はxという任意のyVに足しても変えない元が存在することを要請していて、そういう元を零元とかゼロとかいう(一般には実数のゼロとは別物であることに注意)。
  4. xVyVx+y=0
    この論理式はすべてのxVについて、それぞれ足すとゼロになるような元yVが存在することを要請していて、そういう元を逆元という。
  5. λ,μKxV(μ+λ)x=μx+λx
  6. λKx,yVλ(x+y)=λx+λy
  7. λ,μKxVλ(μx)=(λμ)x
  8. xV1x=x
    この1Kの要素であることに注意。

1~4までの要請から、線型空間は和によりAbel群を成すことがわかる。

線型空間としての実数

実数Rは体としての演算(和と積)を以て線型空間を成す。

この場合体Kを線型空間Vの係数体という。
今後、係数体はR(かC)に限ることにする。

線型写像

線型写像とは、線型空間V,Wの間の写像f:VWであって、
λRv1,v2Vf(λVv1+Vv2)=λWf(v1)+Wf(v2)
を満たすものをいう(演算の区別のためにVの演算にはVを、WのものにはWを記した)。

要は線型空間のもつ2つの演算を保存する写像のこと。

恒等写像

線型空間V上の恒等写像idV:VV;vvは明らかに線型。

線型写像の核

線型写像f:VWの核Kerfとは、{vVf(v)=0W}のことをいう。

また、始域の像の記法も用意されていてImfと書くらしいです(正直f[V]の記法でいいと思う)。
核に関して重要な性質がある。

線型写像f:VWについて、核が自明であることKerf={0V}と単射であることv1,v2Vf(v1)=f(v2)v1=v2は同値。
則ち、
Kerf={0V}[v1,v2Vf(v1)=f(v2)v1=v2]

()
v1,v2Vについて、f(v1)=f(v2)とする。
f(v1)=f(v2)f(v1)f(v1)=f(v2)f(v1)0W=f(v2v1)
ここで、Kerf={0V}よりv2v1=0V、よってv1=v2

()
vVについて0W=f(v)f(v)=f(vv)=f(0V)より常に0VKerf
さらにfは単射より、Kerf={0V}

同型

線型空間V,Wについて、VからWへの線型写像とWからVへの線型写像の両方が存在するとき、VWは同型であるという。このことをVWと記す。

他の代数系と一緒ですね。

線型写像に逆射が存在すれば、それは線型写像となる。

線型写像f:VWに逆射f1:ImfVが存在すると仮定する。
このとき任意のw1,w2Imfについてf(v1)=w1,f(v2)=w2なるv1,v2Vが存在する。
これを用いて、
f1(λw1+w2)=f1(λf(v1)+f(v2))=f1(f(λv1+v2))=λv1+v2=λf(w1)+f(w2)
よってf1は線型写像。

補題2

線型写像f:VWが双射(全単射)であればVW

線型写像f:VW全体の空間L(V,W)は線型空間を成す。

λRf,gL(V,W)について、Wの演算をそのまま用いて
f+g:VW; vf(v)+Wg(v)
λf:VW; vλWf(v)
となるように演算を定義すると、明らかにL(V,W)とこの演算は線型空間を成す(定義の条件を満たします)。

もちろんL(V,V)みたいなものもあって、こういうやつは自己同型とかいいます。

双対空間

線型空間Vの双対空間Vとは、L(V,R)のことをいう。

命題3でみたように、双対空間も線型空間。

線型結合, 線型従属

空でない集合Aを線型空間Vの部分集合とする。vVAの線型結合であるとは、
ξRAv=aAξaa
であることをいう。このことをvAに線型従属するともいう。
ただし、RAAからRへの関数全体の集合であり、ξAの要素に応じて実数を定める座標系である。
また、vに対してξが一意に定まるとき、vAに一意に線型従属するという。

基底, 枠

線型空間Vとあり空でないVの部分集合Aについて、任意のvVAに一意に線型従属するとき、AVの基底であるという。
また、Aが自然数により順序付けられているとき、これを枠という。
枠の場合は、線型結合はinξiaiと表される(aiV)。

線型空間Rの基底

線型空間としての実数Rについて、任意の実数aが基底{a}を成す(任意の実数xaを用いてx=(x/a)aと表せる。ここでは(x/a)Rが成分である)。
そのなかでも標準的であるものは{1}である。この標準基底のもとではベクトル自体と成分の表記を区別する必要がない。

R2の標準基底

R2に自然に演算を入れたもの(成分ごとに実数の計算をする)は線型空間を成す。e0=(1,0),e1=(0,1)とすると(ei)i{0,1}は枠を成すが、これをR2の標準基底という。上の例と同様に、この標準基底のもとでは成分とベクトル自体が同じものであって区別しなくてすむため、我々は(2,3)のようにベクトルを記述できる。

時間とか距離とかそういった「量」の線型空間

秒という単位そのものを数学的対象としてみたとき、{}が生成する線型空間を考えてみる(秒と記している対象そのものをベクトルとしてみています)。
例えば、2+3=(2+3)=5
こんな感じで単位をもつ量の空間は線型空間で考えられる(ただし集合論的には秒とかいう対象を(それが宇宙に存在すると)認めなければならない。)。

流派(?)にもよるかもしれないが、普段基底と呼んでいるものは厳密には基底の要素である。さらに自然数によって指定できるものは枠と呼ばれる。要素と集合のどちらを基底と呼ぶかは些細な問題だが、有限どころか可算ですらない基底も考えることができることに注意。

線型空間Vの基底の要素eEについて、eVを次のように定義する。
e(eEcee)=ce
このとき、e全体の集合はVの基底となる。
(Eは基底であるから、eEceeVの要素を網羅できる)

任意のfL(V,R)について、
ξe=f(e)となるようξREを定義すると、
f(v)=f(eEcee)=eEcef(e)=eEceξe=eEξee(v)より、
f=eEξee
よって、f{eeE}に一意に線型従属する。

双対基底

線型空間Vの基底の要素eに対し、eL(V,R)を命題4と同様に定義する。
命題4よりこれらeの集合はVの基底を成すためこれを双対基底という。

双対基底の要素はつまり基底eに関する座標関数のこと。

再双対空間

線型空間Vについて、双対空間の双対空間Vを再双対空間という。

線形空間Vについて、VV

ψ:VV; v[ff(v)]とおく。
fはベクトルを実数に移す線型写像、すなわちL(V,R)の元である。
まずψが線型であることを示す。
ψ(λv1+v2)=[ff(λv1+v2)]=[fλf(v1)+f(v2)]=[fλf(v1)]+[ff(v2)]=λ[ff(v1)]+[ff(v2)]=λψ(v1)+ψ(v2)

次に単射であることを示す。
ψ(v1)=ψ(v2)を仮定する。
[ff(v1)]=[ff(v2)]
f=eiである場合を考えると、eiv1=eiv2。すなわちv1v2はあらゆる成分が等しいためv1=v2である。

次に上射(全射)であることを示す。
双対基底の双対基底は
e;v=eEceece=eEcee(e)=v(e)
であるからe=ψ(e)(基底Eの双対基底をEと記述しています)。
命題4よりEVの基底であるから、任意のvVについてv=eEξee=eEξeeとなる。
これを用いて
v=eEξee=eEξeψ(e)=ψ(eEξee)
よって、vVvVψ(v)=vより上射。

以上より、補題2の系からVV

これによって、VVを同一視できる(すべての要素が一対一に対応するし構造も変わらないので単にラベルが違うだけと看做せて、このラベルを無視する)。

そしてついにきました。

テンソル積

線型空間V,Wの要素vV,wWに対し、そのテンソル積vwとは、双線型写像
(v,w)V×Wv(v)w(w)R
のことをいう。
可算個のテンソル積は
iNvi:iNViR;(vi)iNiN(vivi)
と定義される(有限個にしたければNn={0,1,,n1}にかえればよい)。
さらに、線型空間V,Wのテンソル積空間VWを、vV,wWのテンソル積全体が生成する線型空間とする。

(p,q)テンソル

線型空間Vに対し、i=0pVii=0qViの元をタイプ(p,q)のテンソルという。

タイプ(1,0)のテンソル

これは定義からL(V,R)=Vの元であるから、もとのベクトルである(同型を同一視)。

タイプ(0,1)のテンソル

これは定義からL(V,R)の元であるから、L(V,R)と看做せる。

線型空間V,Wのテンソル積空間VWの基底は{eVeWeVEVeWEW}である(EV,EWはそれぞれV,Wの基底)。

vV,wWについてv=eVEVaeVeV,w=eWEWbeWeWとする。
このとき
(vw)(v,w)=(vv)(ww)=(v(eVEVaeVeV))(w(eWEWbeWeW))=(eVEVaeVv(eV))(eWEWbeWw(eW))=eVEV(aeVv(eV)(eWEWbeWw(eW)))=eVEVeWEW(aeVv(eV)beWw(eW))=eVEVeWEW(aeVbeW(eVeW)(v,w))
より
vw=eVEVeWEWaeVbeW(eVeW)
よって、vw{eVeWeVEVeWEW}に一意に線型従属する。

2つのテンソル積空間の場合が示せたので、帰納的に有限個の場合も示せる。

(p,q)テンソルの成分

線型空間V(p,q)テンソルの元Tは命題6より定まる基底を用いて、
T=i1,,ip,j1,,jqTj1,,jqi1,,ipei1eipej1ejq
と線型結合の形に表せる。
このときのTj1,,jqi1,,ipをテンソルTの成分という。

上付きだったり下付きだったりしたあの添字はこっからきます。

ばこてん

1章

いきなり4元ベクトルとかいうのがでてきて時間成分(添字0)以外の添字の上げ下げでは1かけますとか言われて戸惑う。
添字の上げ下げについてはSchutzの方にあったけど、計量テンソルとその逆を使うと添え字の位置を変えられるので、計量テンソルによって添字の上げ下げの関係が記される。ここの相対論で扱う空間((ct,x,y,z)の成す空間)がMinkowski空間と呼ばれるもので内積みたいなやつ(正定値性を満たさない)をもっている。こいつを計量ともいう(多分)けど、そいつの符号が(+,,,)であるから時間成分(添字0)以外の添字の上げ下げでは1かける。ばこてんでは計量テンソルがあとから定義されているみたいだけど、計量テンソルがあって初めて添字の上げ下げができるようになる、という順序だと思う。

座標系によって変わる変わんないみたいな話をよくしているけど、相対論で考える空間(時間も位置も含めて)は擬Riemann空間というやつらしく、これは可微分多様体と計量もどきを合わせたものらしいです。
多様体は局所的な座標系をいくつかもっており、幾何的実態を捉えたいとなったときに、座標系に依存してほしくないので座標変換で不変かどうかを気にしているんだと思う。

参考文献

投稿日:2022611
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. ばこてんとかSchutzの行間補完したい
  2. 線型代数の部分
  3. ばこてん
  4. 参考文献