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素数と2次形式

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動機

素数pを表現する正定値二次形式x2+ny2=p
xyを求める公式を作りたい。
x2+y2x2+2y2の場合の公式を求めました。

準備

AA×の定義

Aを可換環
A×Aの単元群

Bの定義1

BA加群
BA加群として次の分裂完全列が存在する。
0AiBpC0

分裂完全列が持つ性質
   t:BAti=idA満たす全射
   l:CBpl=idCを満たす単射

Bの定義2

Bは有限集合

Gの定義1

GBA加群自己同型群の部分群

Igの定義

gG
Ig:=t(g(l(C)))Aのイデアル

Gの定義2

Gは次の性質を満たすとする。
Ig=0ならば、g=aIdB (aA×)
Ig0ならば、t(g(i(1A)))Ig

有限体Fqの有限次拡大体Fqn

A:=Fq
B:=Fqn
GBの乗法部分群
nqは互いに素
iとして、Fqの包含をとり、
tとして、Tr(x)n=1nk=0n1xpk
p(b):=bt(b)
C:=p(B)
B=AC
t(xy)Bで非退化対称形式
t(p(x)p(y))Cで非退化
すべてのyCt(p(x)p(y))=0ならp(x)=0

p(g)0ならば あるbBt(p(g)p(b))0 よりIg=A
t(g(i(1A)))=t(g)A

p(g)=0ならばgA

θ(a)

θ^:A×C×は非自明群準同型
θ:AC
θ(a):=0   aAA×
θ(a):=θ^(a)   aA×

aIdBA×IdBGならばθ(a)=1

α(b)

α(b):=g(A×IdBG)G/(A×IdBG)θ(t(g(b)))

|C|=bA×IdBGB/(A×IdBG)|α(b)|2

α(b)

α(b):=gGθ(t(g(b)))

θ(a)の準同型性、gA準同型性より
aA×なら
α(ab)=gGθ(t(g(ab)))=θ(a)α(b)
|α(ab)|2=|α(b)|2

θ(a)の定義より
aIdBA×IdBGなら
α(ab)=gGθ(t(g(ab)))=α(b)
α(b)=|A×IdBG|α(b)

α(b)の定義より
gG
α(g(b))=α(b)

Igの性質

agIgθ(t(g(i(1A))+ag)={1  (Ig=0)0  (Ig0)
Ig=0 ならば
Gの定義2から
aA× g=aIdB
θ(a)の定義からθ(a)=1

IgAならば
t(g(i(1A))IgおよびIgA×=ϕより
θ(Ig)={0}

Ig=A ならば
θ^の非自明性より、
あるa1A×θ(a1)1
a1A=Aから
aAθ(t(g(i(1A))+a)=aAθ(a)=aAθ(a1a)
0=(1θ(a1))aAθ(a)
0=aAθ(a)

1

bB/G|α(b)|2=|A×||A×IdBG|bA×IdBGB/(A×IdBG)|α(b)|2=|A×||A×IdBG|bA×IdBGB/(A×IdBG)|α(b)|2

2

bB/G|α(b)|2=bB/Gg,gGt(θ(g(b)))θ(t(g(b)))=bBgGθ(t(b))θ(t(g(b)))   (b=it(b)+lp(b),t(b)=a,p(b)=c)=aAcCgGθ(a)θ(t(g(ai(1A)+l(c))))   (aAA×,θ(a)=0)=aA×cCgGθ(a)θ(t(g(ai(1A)+l(c))))   =aA×cCgGθ(t(g(i(1A)+l(a1c))))   (CA)=|A×|cCgGθ(t(g(i(1A)))+t(g(l(c))))=|A×|gG|C||Ig|agIgθ(t(g(i(1A))+ag)   (Ig) =|A×|gA×IdBG|C|=|A×||A×IdBG||C|

3

bB/G|α(b)|2=|A×||A×IdBG|bA×IdBGB/(A×IdBG)|α(b)|2=|A×||A×IdBG||C|

|C|=bA×IdBGB/(A×IdBG)|α(b)|2

具体例

p=x2+y2

例1の続き
p4で割って1余る素数
A:=Fp
B:=Fp2
G:={bB|bp+1=1}
θ(a):=(ap)
(ap)はルジャンドル記号
A×G={±1}
θ(±1)=1
MAθ(M)=1とする。
G/{±1}{bB|bp+12=1}
B/(A×G){0,1,M}
α(b)はルジャンドル記号の整数性より整数
α(0)=0
p=|C|=α(0)2+α(1)2+α(M)2=α(1)2+α(M)2

p=x2+2y2

例1の続き
p8で割って3余る素数
A:=Fp
B:=Fp2
G:={bB|bp+14=1}
θ(a):=(ap)
(ap)はルジャンドル記号
A×G={1}
θ(1)=1
B/(A×G){0,1,1,1+12,1+12}
Gp=G,t(gpbp)=t(gb)より
α(bp)=α(b)
α(0)=0
α(1)=α(1p)=α(1)=α(1)
α(1)=0
α(1+12)=α(1+12)

α(b)はルジャンドル記号の整数性より整数
p=|C|=α(0)2+α(1)2+α(1)2+α(1+12)2+α(1+12)2=α(1)2+2α(1+12)2

p=x2+2y2
例1の続き
p8で割って1余る素数
A:=Fp
B:=Fp2
G:={bB|bp+1=1}
θ(a)mod pで位数4のディリクレ指標
A×G={±1}
θ(±1)=1

MA(Mp)=1とする。
G/{±1}{bB|bp+12=1}
B/(A×G){0,1,M}
α(b)はガウス整数
α(0)=0
g=v+Mw,gG ならば,gp+1=v2Mw2=1変形すると
1v2M(1w)2v2=1
(v=t(g))
(v=0なら両辺の平方剰余、非剰余が異なるためv0)
α(1)=gGθ(t(g))=gGθ(t(g))1=gGθ(t(g))=α(1)
α(1)は整数

gGなら(gM)p+1=M
gM=x+yMとする。
x2y2M=M

aA×の元としたとき、
a2+Mは平方剰余v2か平方非剰余v2M
(-1が平方剰余なので、0にはならいない。)
平方非剰余ならaはあるgt(gM)=a
平方剰余ならa2+M=v2を変形して、
M+M2a2=v2a2Mが成り立つので,

Ma=t(gM)
θ(M)=1が成り立つようにMを取れる。
(成り立たない場合はM3を取ればよい)

Maaに関して対合

A×の元a
次のどれかである。
a=v4,θ(a)=1
a=v4M,θ(a)=1

a=v4M2,θ(a)=1
a=v4M3,θ(a)=1

対は

Ma=v4M,θ(Ma)=1
Ma=v4,θ(Ma)=1
Ma=v4M1=1M4v4M3,θ(Ma)=1
Ma=v4M2=1v4M4M2,θ(Ma)=1

α(M)A×の元aに対して、θ(a)θ(Ma)のどちらかを足し,A×の先の類別を用いると。
各対はwi=0,1を用いてそれぞれ
w0+(1w0)(1)
w11+(1w1)(1)
w2(1)+(1w2)(1)
w3(1)+(1w3)(1)
と表せる。
これらを足すと。
w0+1w1w21+w3+(1w0+w11+w2w3)1=(w0w1w2+w3)(11)
これにより、α(M)11の整数倍
|α(M)|2=2d2
p=|C|=|α(0)|2+|α(1)|2+|α(M)|2=α(1)2+2d2
となる。

投稿日:2022712
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