こんにちは.この記事では軽い自己紹介と,TeX打ち練習を兼ねて$\Gamma$(ガンマ)関数を用いた指数関数の積分表示を導出し,それを用いて有名な特殊関数の積分表示を確認していこうと思います.間違い等あればコメントお願いします.
現在高1のたい焼き(Twitter:sakurabarora777)と申します.数学と物理学を趣味で嗜んでいます.気が向いたときに記事を書けたら良いなーって思います!
$\Gamma$関数は階乗の概念を非負整数から一般の複素数(ただし実部は正)に拡張したものです.
部分積分を用いることで,等式$\Gamma(s+1)=s\Gamma(s)$が得られ,$\Gamma(1)=1$であることから非負整数$n$に対し$\Gamma(n+1)=n!$であることがわかります.すなわち,$\Gamma$関数は階乗の自然な拡張になっていると言える訳です.また,先程の等式から負の整数を除く複素数全体に解析接続する(定義域を拡張する)ことができます.
$\Gamma$関数の定義式において,$a$を正の定数として$t\rightarrow at$と置き換えます.すると,積分区間は$[0 \rightarrow \infty]$のままで
$$
\begin{eqnarray}
\Gamma(s)&=&\int_{0}^{\infty} t^{s-1}e^{-t}dt\\
&=&\int_{0}^{\infty} (at)^{s-1}e^{-at}adt\\
&=&a^s\int_{0}^{\infty} t^{s-1}e^{-at}dt
\end{eqnarray}
$$
したがって,以下のような積分表示を得ます.
この積分表示は,有名な特殊関数の積分表示を導出する際に頻繁に用いられます.(積分表示に$\Gamma$関数が入っているのを頻繁に目にすると思います)
$\zeta$(ゼータ)関数は以下のように定義されます.
これの積分表示を導出してみましょう.指数関数の積分表示を$n^{-s}$に適用して,
$$
\begin{eqnarray}
\zeta(s)&=& \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{s}}\\
&=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}e^{-nt}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\sum_{n=1}^{\infty}e^{-nt}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\frac{e^{-t}}{1-e^{-t}}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}\frac{t^{s-1}}{e^{t}-1}dt
\end{eqnarray}
$$
となります.結果をまとめると以下のようになります.
多重対数関数は以下のように定義されます.
これの積分表示を導出してみましょう.流れは$\zeta$関数のときと同様なので,やったことがない人は是非手を動かして計算してみてください.指数関数の積分表示を$n^{-s}$に適用して,
$$
\begin{eqnarray}
{\rm Li}_{s}(z)&=& \sum_{n=1}^{\infty}\frac{z^{n}}{n^{s}}\\
&=&\sum_{n=1}^{\infty}z^{n}\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}e^{-nt}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\sum_{n=1}^{\infty}z^{n}e^{-nt}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\frac{ze^{-t}}{1-ze^{-t}}dt\\
&=&\frac{z}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}\frac{t^{s-1}}{e^{t}-z}dt
\end{eqnarray}
$$
となります.結果をまとめると以下のようになります.
Dirichlet beta関数は以下のように定義されます.
これの積分表示を導出してみましょう.上2つと流れは同じですが,指数関数の積分表示で$a$を$2n+1$に置き換えて使います.これを$(2n+1)^{-s}$に適用して,
$$
\begin{eqnarray}
\beta(s)&=&\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{(2n+1)^{s}}\\
&=&\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}e^{-(2n+1)t}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-(2n+1)t}dt
\end{eqnarray}
$$
ここで,数列${a_n}=(-1)^{n}e^{-(2n+1)t}$は$a_0=e^{-t}$,公比$e^{-2t}$の等比数列なので,
$$
\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-(2n+1)t}=\frac{e^{-t}}{1+e^{-2t}}
$$
と計算できるので,
$$
\begin{eqnarray}
\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}t^{s-1}\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}e^{-(2n+1)t}dt
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}\frac{t^{s-1}e^{-t}}{1+e^{-2t}}dt\\
&=&\frac{1}{\Gamma(s)}\int_{0}^{\infty}\frac{t^{s-1}e^{t}}{e^{2t}+1}dt
\end{eqnarray}
$$
となります.結果をまとめると以下のようになります.
この記事では3つの特殊関数を取り上げ積分表示を導出しましたが,どれもやり方はほぼ同じです.指数関数の積分表示は,積分や級数の問題を解く際にもしばしば有効となることがあるので,ぜひ覚えておきましょう.現在,物理学に関する記事を執筆中なので完成次第投稿すると思います.つまらない内容でしたが,最後まで目を通していただきありがとうございました.