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京大数学科院試過去問解答例(2025基礎04)

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ここでは京大数学教室・RIMSの修士課程の院試の2022基礎04の解答例を解説していきます(但し解説の都合上少し問題を改変しています)。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2025基礎04(改)

nを正の自然数とする。積分
Ia=0sinnxxadx
がwell-definedに定義されるような実数aの範囲を求めなさい。

初めにsinnxxnx=0に解析接続され、その値は1であることから、積分
02πsinnxxa
n+1aで発散し、a<n+1で収束する。
次に積分
2πsin2k+1xxadx
が任意のa>0で収束する一方a0では収束しないことを示す。まずF(θ)sin2k+1θの原始関数とする。このとき上記の積分は、Fの有界性を考慮すると、
2πsin2k+1xxadx=[F(x)xa]2π+a2πF(x)x1+adx=F(2π)(2π)a+a2πF(x)x1+adx
と表せる。再びF(θ)の有界性を考慮すれば、右辺第二項がルベーグの優収束定理からwell-definedに定まることが従う。よって上記の積分はwell-definedに定まる。一方a=0のときはsin2k+1xは周期関数なので収束せず、a<0のときも
2πxasin2k+1xdx=i=0(1)iIi
Ii:=(i+2)π(i+3)π|xasin2k+1x|dx
と表せ、Iiiに対して単調増加であることから収束しない。
次に積分
2πsin2kxxadx
はルベーグの優収束定理から任意のa>1で収束する一方、a1では収束しない。
以上からIaが収束するようなaの範囲は
0<a<n+1(2n)1<a<n+1(2|n)
である。

投稿日:2024928
更新日:2024929
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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