以下のような単一のパルス信号を考える。
$$
x(t) = u(t) - u(t-1)
$$
ただし、$u(t)$は単位ステップ関数($t$が負のとき0、正のとき1を値としてとる関数)である。
この信号のラプラス変換($X_l(s)$とする)を考えると、以下の関数が得られる。
$$ X_l(s) = \frac{1-e^{-s}}{s} $$
極と零点について調べてみる.
極としてありえそうなのは原点なので、こいつの$s=0$での値(の極限)を知りたい.
とりあえず指数関数のMaclaurin展開を使ってみる.
$$ e^z = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{z^k}{k!} = 1 + z + \frac{z^2}{2} + \cdots$$
なので、$z = -s$として$X_l(s)$の式に代入すると
$$
X_l(s) = \frac{1-\sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-s)^k}{k!}}{s}
= \frac{1 - (1 - s + \frac{s^2}{2} + \cdots)}{s}
= 1 - \frac{s}{2} + O(s^2) \quad (s \to 0)
$$
が得られるので、
$$
\lim_{s \to 0} X_l(s) = 1
$$
が示された.
よって、$X_l(s)$は複素数平面上で極を持たない.
零点は$1 - e^{-s} = 0$を満たす点だから、(原点を除く)虚軸上に$2\pi i$間隔で無限個存在していることが分かる.