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一般化ガンマ分布に従う確率変数の対数の期待値

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次の密度関数 f(x;a,b,k) を持つ確率分布を一般化ガンマ分布(generalized gamma distribution)という.

f(x;a,b,k)=(k/ba)xa1exp((x/b)k)Γ(a/k),x>0.

(a,b,k) はすべて正の値を取るパラメータである.

(a,b,k) の値をいくつか適当に選んでプロットしたものが図1である.

一般化ガンマ分布の密度関数 一般化ガンマ分布の密度関数

確率変数 X が一般化ガンマ分布に従うことを XGG(a,b,k) と書くことにする.

いま, X の自然対数をとった確率変数 logX の期待値 E[logX] を求めたい(そういうのを求めたい状況がたまにある).

その準備として, ガンマ関数の定義を確認すると,

Γ(z)=0tz1exp(t)dt

である. u=log(t) と変数変換すると, du=dt/tより, ガンマ関数は,

Γ(z)=exp(uzexp(u))du

と書けることがわかる.

さて, 一般化ガンマ分布のパラメータbはスケールパラメータで, XGG(a,1,k) のとき, Xb倍したbXGG(a,b,k) に従う.

そこで, XGG(a,1,k) の場合を考える.

E[logX]=0log(x)kxa1exp(xk)Γ(a/k)dx=1Γ(a/k)0klog(x)xaexp(xk)dx/x

y=klog(x)と置き, dy/k=dx/xより,

E[logX]=1Γ(a/k)yexp((a/k)yexp(y))(dy/k)=1Γ(a/k)aexp((a/k)yexp(y))dy=1Γ(a/k)a(exp((a/k)yexp(y))dy)=(aΓ(a/k))1Γ(a/k)=ψ(a/k)/k.

ここでψ(z)はディガンマ関数
ψ(z)=ddzlogΓ(z)
である.

E[log(bX)]=E[log(X)]+log(b) なので, XGG(a,b,k) のときは E[log(X)]=ψ(a/k)/k+log(b).

検算は Generalized gamma distribution in Julia (GitHub Gist) のように行った.

ちなみに, XGG(a,1,k) の場合の E[X] を定義通り計算すると,

E[X]=0xkxa1exp(xk)Γ(a/k)dx=kΓ(a/k)0xaexp(xk)dx.

ここで y=xk と置くと, x=y1/k, dx/dy=(1/k)y1/k1 より, xadx=(1/k)y(a+1)/k1dy なので,

E[X]=Γ((a+1)/k)Γ(a/k)

であるから, XGG(a,b,k) のときは E[X]=bΓ((a+1)/k)Γ(a/k).

投稿日:2022727
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cocotan
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