広島県の教員採用試験(小学校・算数)で次のような問題が出題されました.
※問題に誤りがあったため,現在は公開されていません.
次のようなL字型ブロックとS字型ブロックを組み合わせて,
ただし,1,2 いずれにおいても,1個も使用しないブロックがあってもよい.
まず,直方体全体に含まれる小立方体の個数は
L字ブロックをできるだけ多く使う場合について考察すると,多少の試行錯誤により,L字ブロック15個を用いて(すなわち,S字ブロックは使用しない)直方体を完成させることができます.従って,1番の問題は解けました.
こちらは少し難しいです.まず,こちらも試行錯誤により,S字ブロック13個,L字ブロック2個で直方体を完成させることができることがわかります(やってみてください).
そこで,次の問題を考えることにします.
(1) S字ブロック14個,L字ブロック1個の組み合わせで直方体を作ることができるか.
(2) S字ブロック15個で直方体を作ることができるか.
この(1),(2)を解くことができればこの問題は解決です.
試行錯誤により,直方体を作ることはできなさそうに感じたので,次のことを示します.
S字ブロック14個,L字ブロック1個の組み合わせでは
敷詰め問題の定番の手法を用います.
各小立方体に振った数字の個数を数えると,次のようになっている.
数字 | 個数 |
---|---|
1 | 16 |
2 | 14 |
3 | 16 |
4 | 14 |
このように数字を振った直方体にS字ブロックを置くと,必ず次が成り立つ.
また,L字ブロックを置くと必ず次が成り立つ.
したがって,S字ブロックを14個使った段階で,直方体に書かれている数字のうち,覆われていないものの個数を数えると次のようになっている.
数字 | 個数 |
---|---|
1 | 2 |
2 | 0 |
3 | 2 |
4 | 0 |
この状態になった直方体をL字ブロックで覆うことはできないことが,先ほどの考察からわかる.
以上から,S字ブロック14個,L字ブロック1個の組み合わせでは,
さきほどと同様の方針で次のことを示します.
S字ブロック15個では
直方体に振る数字のパターンを変えて次のようにします.
それぞれの数字の個数は
数字 | 個数 |
---|---|
1 | 18 |
2 | 12 |
3 | 18 |
4 | 12 |
である.
S字ブロックを置いたときの数字を覆うパターンは次のいずれか.
(i),(ii),(iii)のような置き方をするS字ブロックの個数をそれぞれ
この連立方程式の解は
そのような置き方では直方体を作ることができないことは次のことからわかります.さきほど数字を振った直方体を,さらに次のように色分けします.
(ii)または(iii)の置き方は,どちらも色をまたがないような置き方になっています(それぞれのブロックは青のみ,または白のみを覆う).したがって,直方体を作るためには
以上から,S字ブロック15個でも直方体を作ることができないことがわかった.
なかなか難しい問題だったように思います.議論の不備や誤り等あればご指摘ください.
このような敷詰め問題は,敷き詰めることができるための必要条件を考えて,それを満たさないから敷詰めできない,というような問題が多い印象です.敷詰めできるための十分条件についてはかなり難しいのでしょうか?どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えてください.
また,この問題を考えるにあたって色々調べたのですが,平面上の敷詰めについては記事や文献が多少あったのですが,空間における敷詰めはあまり情報がありませんでした.そちらについてもお教えいただけるとありがたいです.