$H$ を Hilbert空間,$a,b:H\times H\to\mathbb{R}$ を以下の条件を満たす正定値対称双線型形式とする:
条件1: $H$ は2つのノルム $\|\cdot\|_a:=\sqrt{a(\cdot,\cdot)}$, $\|\cdot\|_b:=\sqrt{b(\cdot,\cdot)}$ についてそれぞれ完備である
条件2:$b$ は $a$ に関してコンパクトである.すなわち,$\|\cdot\|_a$ に関して有界な任意の点列 $\{v_n\}\subset H$ は $\|\cdot\|_b$ に関する収束部分列をもつ.
以下の固有値問題の固有値を $0<\lambda_1\leq\lambda_2\leq..$ とし,$\lambda_k$ に属する $\|\cdot\|_b$ で正規化された固有ベクトルを $u_k$ とする.
Find $\lambda\in\mathbb{R}$, $u\in H$ such that
$$
a(u,v)=\lambda b(u,v)~~v\in H.
$$
レイリー商 $R:H\to\mathbb{R}$ を
$$
R(v):=\frac{a(v,v)}{b(v,v)}
$$
によって定める.
第 $k$ 固有値 $\lambda_k$ に対して,
$$
\lambda_k=\min_{V^k\subset H}\max_{v\in V^k}R(v)
$$
が成り立つ.ただし,$V^k$ は $H$ の任意の $k$ 次元部分空間を動く.
(証明)
まず,$H$ の $k$ 次元部分空間として $V^k:=\mbox{span}\{u_1,u_2,..,u_k\}$ をとると,
$$
\max_{v\in V^k}R(v)=\max_{|(x_1,..,x_k)|=1}(x_1^2\lambda_1+x_2^2\lambda_2~+..+x_k^2\lambda_k)\leq\lambda_k
$$
が分かる.よって
$$
\inf_{V^k\subset H}\max_{v\in V^k}R(v)\leq\lambda_k
$$
となる.
$V^k$ を $H$ の任意の $k$ 次元部分空間とする. するとある番号 $l~(\geq k)$ が存在して, $V^k\cap\mbox{span}\{u_l\}\neq\emptyset$ が成り立つ.
よって
$$
\max_{v\in V^k}R(v)\geq\lambda_l\geq\lambda_k
$$
となり,
$$
\min_{V^k\subset H}\max_{v\in V^k}R(v)\geq\lambda_k
$$
が成り立つ.以上より主張が証明された.
第 $k$ 固有値 $\lambda_k$ に対して,
$$
\lambda_k=\max_{V^{k-1}\subset H}\min_{v\in V^{{k-1},\bot}}R(v)
$$
が成り立つ.ただし,$V^{k-1}$ は $H$ の任意の $k-1$ 次元部分空間を動く.
(証明)
まず,$H$ の $k-1$ 次元部分空間として $V^{k-1}:=\mbox{span}\{u_1,u_2,..,u_{k-1}\}$ をとると,
$$
\min_{v\in V^{k-1,\bot}}R(v)\geq\lambda_k
$$
が分かる.よって
$$
\sup_{V^{k-1}\subset H}\min_{v\in V^{{k-1},\bot}}R(v)\geq\lambda_k
$$
となる.
$H$ の $k-1$ 次元部分空間 $V^{k-1}$ を任意にとる. するとある番号 $l~(\leq k)$ が存在して, $V^{k-1,\bot}\cap\mbox{span}\{u_l\}\neq\emptyset$ が成り立つ.
$$
\min_{v\in V^{k-1,\bot}}R(v)\leq\lambda_{l}\leq\lambda_k
$$
となり,
$$
\max_{V^{k-1}\subset H}\min_{v\in V^{{k-1},\bot}}R(v)\leq\lambda_k
$$
が成り立つ.以上より主張が証明された.