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大学数学基礎解説
文献あり

Bessel関数メモ

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Bessel関数の定義は以下のようになる.

Jα(x):=n=0(1)nn!Γ(n+α+1)(x2)2n+α=1Γ(α+1)(x2)α0F1[α+1;x24]Yα(x):=Jα(x)cosπαJα(x)sinπα
ただし, αが整数のときは, Yαは極限で定義される. Yα(x)Nα(x)と書かれることもある.

α=mが整数の場合が特に重要であると考えられる. そのとき,

Jm(x)=n=0(1)nn!(n+m)!(x2)2n+m=n=0(1)nm(nm)!n!(x2)2nm=(1)mJm(x)
が成立する. また, 定義よりYm(x)=(1)mYm(x)も容易に分かる. 以下のように, Bessel関数は三角関数の一般化になっている.
J12(x)=1Γ(32)x20F1[32;x24]=2xπn=0(1)n(2n+1)!x2n=2πxsinx
J12(x)=1Γ(12)2x0F1[12;x24]=2πxn=0(1)n(2n)!x2n=2πxcosx

Y12(x)=J12(x)Y12(x)=J12(x)

Jα(x),Yα(x)はBesselの微分方程式,
x2d2ydx2+xdydx+(x2α2)y=0
を満たす.

この解の別の表示として, Bessel関数を用いて, Hankel関数を以下のように定義する.

Hα(1)(x):=Jα(x)+iYα(x)Hα(2)(x):=Jα(x)iYα(x)

α=±12で計算してみると,
H12(1)(x)=2πx(sinxicosx)=2πxieixH12(2)(x)=2πx(sinx+icosx)=2πxieixH12(1)(x)=2πx(cosx+isinx)=2πxeixH12(2)(x)=2πx(cosxisinx)=2πxeix
のようになる. つまり, Bessel関数を三角関数的なものとすると, Hankel関数は指数関数的なものと思える. また, 定義から,

Hα(1)(x)=Jα(x)+iJα(x)cosπαJα(x)sinπα=iJα(x)eiπαJα(x)sinπαHα(2)(x)=iJα(x)eiπαJα(x)sinπα
と表すことができる.

変形Bessel関数を以下のように定義する.

Iα(x):=iαJα(ix)=1Γ(α+1)(x2)α0F1[α+1;x24]Kα(x):=π2Iα(x)Iα(x)sinπα

Hα(1)(x)=iJα(x)eiπαJα(x)sinπα
において, xixに置き換えてから, π2iα+1を掛けると,
π2iα+1Hα(1)(ix)=Kα(x)
が得られる. ここで, Kα(x)の定義にπ2が掛かっている理由が気になるところである.

球Bessel関数, 球Hankel関数, 変形球Bessel関数を以下のように定義する.

jα(x):=π2xJα+12(x)nα(x):=π2xYα+12(x)hα(r)(x):=jα(x)+(1)r1inα(x)=π2xHα+12(r)(x),r=1,2iα(x):=π2xIα+12(x)kα(x):=2πxKα+12(x)

どれも本質的にはα12だけずらしたものであるが, 最後のkα(x)だけ2πxが掛かっている. Kαの定義に掛かっていたπ2がこれで打ち消しあっている.

ここからは主に通常の第1種と第2種のBessel関数Jα,Yαの性質を調べる.

x,tCのとき,
exp(12x(t1t))=n=Jn(x)tn
が成立する.

tnについて整理することにより証明できる.
exp(12x(t1t))=ext/2ex/2t=n=01n!(xt2)nm=01m!(x2t)m=0n,m(1)mn!m!(x2)n+mtnm=n=tnm=0(1)mm!(m+n)!(x2)2m+n=n=tnJn(x)

exp(12(x+y)(t1t))=exp(12x(t1t))exp(12y(t1t))
tnの係数を比較することによって, 以下を得る.

x,yCに対し,
Jn(x+y)=k=Jk(x)Jnk(y)

前定理において, t=eiθとしてみると,

eixsinθ=n=Jn(x)einθ
が得られる.

Besselの積分表示

xCに対し,
Jn(x)=1π0πcos(nθxsinθ)dθ

1π0πcos(nθxsinθ)dθ=12πππei(nθxsinθ)dθ=12πππeinθm=Jm(x)eimθdθ=Jn(x)

0xsα1exJα(βx)dx=Γ(s)Γ(α+1)(β2)α2F1[s2,s+12α+1;β2]

項別に積分する.
0xsα1exJα(βx)dx=0xsα1exn=0(1)nn!Γ(n+α+1)(βx2)2n+αdx=n=0(1)nn!Γ(n+α+1)(β2)2n+α0x2n+s1exdx=n=0(1)nΓ(2n+s)n!Γ(n+α+1)(β2)2n+α=Γ(s)Γ(α+1)(β2)αn=0(1)n(s)2nn!(α+1)n(β2)2n=Γ(s)Γ(α+1)(β2)α2F1[s2,s+12α+1;β2]

βiβに置き換えてiα倍すると,
0xsα1exIα(βx)dx=Γ(s)Γ(α+1)(β2)α2F1[s2,s+12α+1;β2]
を得る. 特にβ=1として, Gaussの超幾何定理を用いると, 以下を得る.

0xsα1exIα(x)dx=Γ(s)Γ(αs+12)2αΓ(αs2+1)Γ(αs2+12)=Γ(s)Γ(αs+12)2sαπΓ(2αs+1)

次に, 指数関数がついていないMellin変換を考える.

0xsα1Jα(x)dx=Γ(s2)2αs+1Γ(αs2+1)

Ramanujan's master theoremを用いる.
0xsα1Jα(x)dx=0xs1n=0(x2)n22n+αn!Γ(α+n+1)dx=120xs21n=0(x)n22n+αn!Γ(α+n+1)=Γ(s2)2αs+1Γ(αs2+1)

参考文献

投稿日:2022817
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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