非線形・凸解析学入門の5.4.弱収束点列とOpialの定理における定理5.4.3で躓いたので、躓いた点を備忘録として残しておく。数学は非専門なので、間違いがあると思います。間違いがあればご指摘頂ければ幸いです。
定理5.4.3は以下で与えられる。
$H$をHilbert空間とし、$\{x_n\}$を$H$の点列とする。このとき、$x_n\rightharpoonup x$ならば$\{x_n\}$は有界である。
定理5.4.3の証明の中で躓いたのが下記の箇所である。
自然数$m$に対して、
$$ F_m:=\{y\in H : |\langle x_n, y \rangle| \leq m \ \ ,\forall n \in \mathbb{N}\} $$
と定義すると、$F_m$は閉集合である。
deltaさんから教えて頂いた証明を下記に載せます。
教えて下さりありがとうございます。
$f_n:H\rightarrow\mathbb{C}$, $y\mapsto\langle x_n, y\rangle$は連続だから、
$\{y \in H; |f_n(y)|\leq m\}$は閉集合である。
躓いたくらいなので、私は間違った証明をしてました。
$F_m$が有界とは限らないという反例があるので、以下の証明は間違ってます。
間違ったことを記憶にとどめておくため備忘録として残しておきます...
間違っているところが他にもあれば私の勉強になるのでコメントくれると嬉しいです。
大きな流れとしては、$F_m$が有界であることを示し、$F_m$がコンパクトであることを示し、$F_m$が閉集合であることを示します。
$z\in F_m$とする。$|\langle x_n, z \rangle| \leq m$である。
$x_n$は任意の$H$の点列なので$z$とすると、$|\langle z, z \rangle| \leq m$である。
よって、$\|z\|\leq m$である。
同様にして、$\|y\| \leq m$である。
$$
\begin{eqnarray}
\delta(F_m) &= & \sup\{d(z,y):z\in F_m,y\in F_m\}\\
&= & \sup\{\|z-y\|:z\in F_m,y\in F_m\}\\
&\leq & \sup\{\|z\|+\|y\|:z\in F_m,y\in F_m\}\\
&\leq & m+m\\
&=& 2m \\
&< & \infty
\end{eqnarray}
$$
よって、$\delta(F_m)$は有界であることがわかった。
$\{y_k\}\subset F_m$とすると、$F_m$が有界なので、$\{y_k\}$は有界である。
$\{y_k\}$は有界なので、収束する部分列$\{y_{k_i}\}$をもつ。
$y_{k_i}\rightarrow c\ \ (i\rightarrow \infty)$とすると、$|\langle x_n, y_{k_i}\rangle|\leq m$より$|\langle x_n, c\rangle|\leq m$となり、$c\in F_m$となる。
よって、$F_m$はコンパクトである。
$$
\begin{eqnarray}
d(y,u)&\leq& d(y,y_{k_i}) + d(y_{k_i},u)
\end{eqnarray}
$$
$i\rightarrow\infty$とすると、$d(y,u)=0$を得る。
$y=u\in F_m$となる。
よって、$F_m$は閉集合である。