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大学数学基礎解説
文献あり

【反例】関数列f_nが関数fに一様収束するならば、関数列f_nの導関数列f'_nは関数列f_nの収束先の関数fの導関数f'に収束する

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記号の約束

f=0は関数fが任意の値に対して0を返す関数であることを意味します。

嘘命題

実数上の関数列(fn)nNがある実数上の関数に一様収束するならば、(fn)nNの収束先は(limnfn)

proof 概要

上の命題が嘘であることを示す。
実数上の関数列(fn)nNが何かしらの実数上の関数に一様収束していても、その導関数列(fn)nNが何かしらの実数上の関数に収束するとは限らないよねというのが話のオチです。
その例が、fn(x)=1nsin(nx)です。(xは実数)

proof

limn(fn)について

fn(x)=cos(nx)であり、(fn)nNは実数全体を定義域とする関数には収束しない。
(a{x2kπ|kZ}の時、fn(a)nを変えると振動してしまう)

(limnfn(x))について

limnfn=0 (一様収束)が成り立ちます。
つまり、関数列(fn)nNの収束先は任意の実数に対して0を対応させる関数。
よってこの導関数は0。つまり、(limnfn)=0

結論

関数列(fn)nNは実数を定義域とする関数には収束せず、一方(limnfn)は任意の実数に0を対応させる関数なので、命題は嘘。

独り言

一様収束したら積分とかlimitは大体交換可能なんだなと思いがちだと思います。
一様収束していても微分の時には交換可能と一般には言えない、というのを数年前にやったんですが忘れてしまっていたので書きました。

wikipediaに載ってます。
ただ、今回の例はそもそも(fn)nN の収束先が実数上の関数としては少なくとも存在していない例なので、存在両辺存在して食い違う反例ないかな。。

参考文献

投稿日:202295
OptHub AI Competition

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投稿者

仕事は高校数学を教える事とプログラミングです。物理も少々。

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