どうも、あおです。
Mathlogとか、PDFとかを人生で一度も書いたことなかったので、何かしら書いてみたいなと思っていたところに、いい感じのお話があり、先輩にかいてみたら?と言われたので書いてみます。
Texそのものに不慣れなので、とても拙い書き方になってしまってると思うのですが、温かい目で見ていただけると嬉しいです。
さて、このシリーズでお話していく内容なんですが、おおざっぱに言うと本質部分加群についてです。本質部分加群には圏論的な特徴づけを与えることができるのですが、基本的にどの本も元を取ることでその諸性質を示しています。元を取る議論は少し苦手なので、圏論的証明を与えようじゃないか、というごく自然な発想で、いろいろ考えていたら意外と簡潔に証明できたので、それを書いていきます。
今回のPart1では、とりあえず圏論的特徴づけを与えるところまでやります、実際にそれで証明を与えていくのはPart2以降となるので、ご注意を!
加群論において重大な役割がある本質部分加群と余剰部分加群ですが、実はよく知られた圏論的な良い特徴づけがあるのでそれを実際に与えて示そうというのが今回の目標です。
この記事を通して次の約束をしておきます。
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・射は全部
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・加群論における極初歩的な主張
・(アーベル)圏におけるpullbackやpushoutに関する基本的な主張
まずは本質部分加群と余剰部分加群について定義をしておきます。
これらの概念を用いて定義される本質単射と余剰全射についても定義します
上から、簡単な命題が成り立ちます。
(1)
(2)
(1)
(2)
したがって本質部分加群を知るには本質単射、余剰部分加群を知るには余剰全射を調べればいいことになります。
部分加群のお話から射のお話にできたので少しハッピーですね!
しかしながら、この本質単射や余剰全射自体が部分加群の言葉で書かれているのでこいつを少し書き換えてやりたい、そんな気がしてきます。
この命題の(2)は、部分加群二つが引き起こす二つの包含射の引き戻しが共通部分を与えることを思い出せば、定義そのままとなるので、これが成り立ちます。双対的に、次もわかります。(まだ双対的であることを示していないので少し強引ですが、実際示せます)
こうなるとだいぶうれしくなってきます、なぜなら本質単射などを述べるのには加群の言葉を使わなくてよいことがわかるからです!!
命題3,4の(2)は一般の加法圏の言葉しか使っていないので、一般の(pushout,pullbackを常に持つような)加法圏に対しても本質単射のような概念が定義できることになります。(それが何なのかは全く知りません)なのでこれらはちゃんと本質単射などの圏論的な特徴づけをしているといってもよいでしょう!
そしてもう一つうれしいのは本質単射と剰余全射が圏論的な意味でちゃんと双対であることが上の命題から従うことです(元の定義からも普通に従いますが、これが見やすいという意味で言っています)。なので、以降は本質単射についてのみ議論をしていくことにします。
ところで、上の本質単射の特徴づけでは
(2)
(1)
準備として、
を取ると、下のように図式を分解できます。
ここでpullback lemとアーベル圏においてpullbackはepiを保つことから、上の四角は
となっている。
命題3により、まず良い加法圏に対して本質単射という概念が定義できるようになりました、アーベル圏ではさらに扱いやすい同値条件として命題5が成り立つことになります。(アーベル圏での議論しかしていないので)
人生初のMathlogだし、軽いものを書こう、という気持ちで書き始めたら想像以上に長くなってしまったのでなんとなく分けたんですが、実際これだけ見ると何したいのかよくわからないですね笑
Part2では本質単射についての良く知られた命題にこの特徴づけを使った証明を与える(つもり)なのでもしよかったら見ていってください。それをメインにこの記事を書き始めたので!