この記事では,可換環
早速ですが定義します。
さらに
ちなみに
形式群とはあくまでも冪級数のことを指しており,群ではないことに気を付けたいです。とはいえ,“結合律”や“逆元”が存在することについては,なにか群のようなお気持ちを感じます。
形式群に付随する群というものを考えることができます。
形式群
ちなみに1.と2.を認めれば自動的に3.と4.が成り立つことを示すには,2変数の形式冪級数に対して,形式的陰関数定理が成り立つことを用います。
最も簡単な形式群です。
加法群
次に簡単な形式群です。
乗法群
次の例はちょっと非自明ですので,計算して確かめましょう。
雰囲気
形式群の公理のうち,1.,3.を満たすことは明らか。結合律については,
ここまで3つの例を挙げてきましたが,いずれも可換な形式群です。例えば
では,非可換な形式群は存在するのでしょうか?という疑問が自然に出てきます。この疑問の答えはYes!です。
次の定理が成り立ちます。
この定理における
というわけで,非可換な形式群の例を1つ紹介します。
非可換であること,公理の1番目を満たすことは明らかである。あとは結合律だけ示せばよい。
歴史的には形式群は,リー代数の考察の中で導入されたものです。
形式群は,大雑把に言うとリー群の積の演算のようにふるまっている冪級数です。リー群から形式群を定義し,その形式群からリー代数を定義することが出来ます。
また,楕円曲線の研究にも使われてきました。“楕円曲線に付随する形式群”を考えることができ,その性質(特に“
また,形式群自体の研究もそれなりに盛んです。例えば形式群の理論の中に本田理論があります。そこでは,代数体の整数環上で定義された形式群が,ほとんど分類できてしまうという結果を得ることが出来ます。数論との結びつきも深いですね。
今回は,形式群の定義とその例について見ていきました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
M. Hazewinkel. Formal groups and applications, volume 78 of Pure and Applied Mathematics. Academic Press Inc. [Harcourt Brace Jovanovich Publishers], New York, 1978.
Joseph H. Silverman. The Arithmetic of Elliptic Curves 2nd Edition (Graduate Texts in Mathematics (106)), 2009.