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大学数学基礎解説
文献あり

二年生の夢(sophomore's dream)とその証明

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 初めまして。今回は、積分と級数に関する公式「二年生の夢(sophomore's dream)」を紹介しようと思います。
まず、「二年生の夢」とは

二年生の夢(sophomore's dream)
  • $\displaystyle{\int^{1}_{0} \frac{1}{x^x}dx=\sum^\infty_{n=1}\frac{1}{n^n}}$
  • $\displaystyle{\int^{1}_{0}x^x dx=-\sum^\infty_{n=1}(-n)^{-n}}$

という等式です。ヨハン・ベルヌーイが発見したそうです。これを証明するために、次の補題を示します。

$\displaystyle{\int^{1}_{0}x^n(logx)^ndx=(-1)^n (n+1)^{-(n+1)}n!}$

$logx=s$と置換すると

(左辺)$\displaystyle{=\int^{0}_{-\infty}e^{sn}\times s^n\times e^s ds}$
$\displaystyle{=\int^{0}_{-\infty}e^{s(s+1)}s^n ds}$

また、$-s(n+1)=t$と置換すると

(左辺)$\displaystyle{=\frac{(-1)^n}{(n+1)^{n+1}}\int^{\infty}_{0}e^{-t}t^ndt}=(-1)^n(n+1)^{-(n+1)}n!$

最後の変形で、ガンマ関数の定義を用いました。これで証明できました。

 いよいよ本題です。まず一つ目の等式を証明します。途中で$e^x$のマクローリン展開

$\displaystyle{e^x=1+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{3!}+ \cdots}=\sum^\infty_{n=0}\frac{x^n}{n!}$

を利用します。被積分関数は

$\displaystyle{\frac{1}{x^x}=x^{-x}=e^{-xlogx}=\sum^\infty_{n=0}\frac{(-xlogx)^n}{n!}}$

と変形できるので、積分と極限を入れ替えると

(左辺)$\displaystyle{=\sum^\infty_{n=0}\frac{(-1)^n}{n!}\int^{1}_{0}x^n(logx)^ndx}$

$\displaystyle{=\sum^\infty_{n=0}\frac{(-1)^n}{n!}\times \frac{(-1)^nn!}{(n+1)^{n+1}}=\sum^\infty_{n=0}\frac{1}{(n+1)^{n+1}}=\sum^\infty_{n=1}\frac{1}{n^n}}$

これで証明できました。次に、二つ目の等式を示します。やることは同じです。被積分関数は

$\displaystyle{x^x=e^{xlogx}=\sum^\infty_{n=0}\frac{(xlogx)^n}{n!}}$

ですから、左辺は

$\displaystyle{\sum^\infty_{n=0}\frac{1}{n!}\int^{1}_{0}x^n(logx)^ndx=\sum^\infty_{n=0}\frac{(-1)^n}{(n+1)^{n+1}}}$

$\displaystyle{=\sum^\infty_{n=1}\frac{(-1)^{n-1}}{n^n}}$

$\displaystyle{=\sum^\infty_{n=1}\frac{(-1)^{2n-1}}{(-n)^n}}$(分母分子にそれぞれ$(-1)^n$をかけて)

$\displaystyle{=-\sum^\infty_{n=1}(-n)^{-n}}$

と証明できます。

余談ですが、「一年生の夢(freshman's dream)」という式があります。ただし
$(x+y)^n=x^n+y^n$
という間違った式なので注意が必要です。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

参考文献

投稿日:20221020

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投稿者

木立
木立
8
1985
みんなすごいなってつくづく思う

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