こんにちは。最近、数論について勉強し始めたので、それを纏めようと思います。間違っている箇所があればご指摘下さい。
有理整数環$\mathbb{Z}$において、整数$m$の倍数全体のイデアル
$(m)=m\mathbb{Z}=\{mx|x\in\mathbb{Z}\}$
を考えます。
なお、可換環$R$の空でない部分集合$I$が次の性質(1),(2)を満たすとき、$I$を$R$のイデアルと言います。
(1). $b,c\in I\Longrightarrow b+c\in I$
(2). $m\in R,b\in I\Longrightarrow mb\in I$
整数でいう倍数みたいなものだと、僕は認識しています。
さて、本題に戻すと、$a,b\in\mathbb{Z}$について、次が成り立ちます。
$a-b\in m\mathbb{Z}\iff a\equiv b\quad(mod\;m)$
これは、合同式の定義より明らかだと思います。
ここで、互いに合同な整数全体の集合を合同類または剰余類と言います。つまり
$(aを含む合同類)=\{b\;|\;b\equiv a\;(mod\;m)\}=a+m\mathbb{Z}=\{a+mx\;|\;x\in \mathbb{Z}\}$
と表されます。イデアルの記号を用いれば、$a+(m)$と書くこともできます。以後$a$を含む合同類を$\bar{a}$と表すと
$\bar{a}=\bar{b}\iff a\equiv b\;(mod\;m)$
が成り立ちます。
任意の整数$a$を$m$で割った余りを$r$とすると、$0\leq r< m$であるから、$a\equiv b\;(mod\;m)$です。よって、$\bar{a}$は$m$個の合同類$\bar{0},\bar{1}, \cdots,\overline{m-1}$のどれか1つでかつただ1つと一致します。
すべての整数を合同類に分類し、その合同類の集合を$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$または$\mathbb{Z}/(m)$と表します。これで、一応すべての整数が分類できるという訳。つまり
$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}=\{\bar{0},\bar{1}, \cdots,\overline{m-1}\}$
となります。
次に、$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$の2元$a,b$について、それらの和$\bar{a}+\bar{b}$と積$\bar{a}\bar{b}$を次のように定めます。
これは、合同式の加法と乗法と同じようなものだと思っています。
この加法と乗法により、集合$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$は可換環であることが分かります。加法の零元は$\bar{0}$で、乗法の単位元は$\bar{1}$となります。そして、可換環$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$を、法$m$に関する剰余環と言います。
環の2元$a,b$が次の条件
$a\neq0,b\neq0\;かつ\;ab=0$
を満たすとき、$a(またはb)$を零因子と言います。例えば、下の表より
剰余環の表
$\bar{3}$は零因子です。また、環$R$が零因子を持たないとき、$R$は整域であるといいます。$\mathbb{Z}/5\mathbb{Z}$などは整域です。なぜならば、零因子を持たないということは
$ab=0\Longrightarrow a=o\;または\;b=0$
で、これは整域の定義だからです。たぶん。
剰余環$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}\;(m>1)$において
$m$が合成数の時、$m=ab$を満たす自然数$1< a,b< m$が存在する。この時、$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$において
$\bar{a}\neq0,\bar{b}\neq0\;かつ\;\bar{a}\bar{b}=\overline{ab}=\bar{m}=\bar{0}=0$
が成り立つ。よって、$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$は零因子を持つ。
次に$m$が素数$p$の時、$\bar{a},\bar{b}\in \mathbb{Z}/m\mathbb{Z}\;,\;\bar{a}\bar{b}=0$とすると
$\overline{ab}=0$
つまり$p|ab\iff p|a\;または\;p|b$が成り立つ。よって、$p$に関する剰余環、すなわち$m$に関する剰余環について
$\bar{a}=0\;または\;\bar{b}=0$
となるので、定義より$\mathbb{Z}/m\mathbb{Z}$は整域である。
(証明終り)
今回はここまでです。読んでくださってありがとうございました。