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教科書に何故か書いてくれない円分体のガロア理論 〜ガウス周期〜

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ζN:=e2π1/N (NZ)とする.

はじめに

代数学の教科書には大抵ガロア理論の章に円分体Q(ζN)について書かれている.しかし殆どの場合そのガロア群を求めて終わりである.実際にはガロア対応まで明示的に求めることが出来る有名な話題があるのに何故かそれが書いてある本が非常に少ない(個人的に絶対に書くべき内容だと思う).この現状は誠に遺憾だと思ったので簡単ながらこのような記事を書くこととなった.なお証明は省略しているので適宜ググるなりして欲しい(いつか書くつもりではある).

円分体のガロア対応

以下主にN=pが奇素数の場合を考える.F=Q(ζp)とする.

ガウスは次の偉大な和を考えた:

ガウス周期

HdGal(F/Q)を指数dの部分群とする.Hda(Z/pZ)×に付随する次数dのガウス周期ηd(a)
ηd(a):=τHdτ(ζpa) で定める.

もしかしたら聞いたことがあるかもしれない.それなりに有名な話題ではある.あるいはこれに関係する量でもあるガウス和の方は聞いたことがあるかもしれない.

さてこれがFの部分体を記述してくれる(証明はいつか書く):

円分体のガロア対応(コックス『ガロワ理論 下』9.2)

aを動かしたときガウス周期はd個の相異なる値ηd,1,,ηd,dを取る.これらはηd,1Q上共役な元のすべてである.

よってQ(ηd,1),,Q(ηd,d)Q上次数dの体であるがGal(F/Q)(Z/pZ)×は指数dの部分群を唯一しか含まないからこれらは全て等しい.

従ってHdに対応する体はQ(ηd,1)==Q(ηd,d).

具体的な計算を一つだけ書いてみよう:

F=Q(ζ13)を円の13分体としよう.KFに含まれるQの4次拡大とする.Kの生成元をガウス周期を使って具体的に求めてみよう.

まず4次のガウス周期全体は η4(1)η4(2)η4(4)η4(7)である.計算するとこれらを根に持つ多項式はx4+x3+2x24x+3となる.これの根全体は,計算すると,η4,1:=1+13α4η4,2:=1+13+α4,η4,3:=113α4η4,4:=113+α4(α:=126+613,α:=126613)の4つである.従ってKQにこの4つの値を添加した体となる.ここで
η4,2η4,1=α2αα=413に注意すれば示したかったK=Q(α)=Q(126+613)が得られた!

結論

楽しい!

投稿日:2022111
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