この記事では後の記事に向けてテータ関数
と楕円積分
の関係について解説していきます。
複素数
で定義する。またこれに対して指標付きテータ関数を
と定め、特に
と書く。
都合上
とおくと
および
が成り立つ。
および
という全単射があることからわかる。
が成り立つ。
に注意すると
がわかる。
に注意すると
がわかる。
とわかる。
を
が成り立つので、これを掛け合わせることで
つまり
を得る。
関数
に対して
が成り立つ。
周期
のフーリエ級数展開
を考えると
が成り立つことからわかる。
が成り立つ。
という微分方程式が成り立ち、その解は
であるので
に注意すると主張を得る。
が成り立つ。
ポワソン和公式を
が成り立つので、この
がわかり、二つ目の式を
を得る。
正の実数
また算術平均と幾何平均を繰り返し取ることで得られる数列、
は不等式
を満たすので単調収束定理から
から
正の実数
の極限として定まる数
を
算術幾何平均は次のような積分表示を持ちます。
が成り立つ。
とおいたとき、
と変数変換すると
となるので
がわかる。
よって
を得る。
そして
第一種完全楕円積分
に対して
が成り立つ。
この式からテータ関数と楕円積分との美しい関係が得られます。
とおいたとき
が成り立つ。
ヤコビの恒等式(定理3)から
がわかるので
が成り立つ。
いま定理2の式を整理すると
となるので
は
がわかる。よって結論を得る。
が成り立つ。
ヤコビの変換公式(定理6)から
が成り立つ。よって再びヤコビの変換公式から
がわかり、これと
を合わせることで主張を得る。
と変化してしまうため、一見矛盾に見えます。このことについては次のように説明できます。
例えば次のような等式を考えてみましょう。
この等式において
となってしまいます。
この矛盾が生じるのは
とは通常
これと同様に
における
のような等式が成り立つ(別の記事で解説します)ことからも
ここら辺の議論は分岐点とリーマン面の理論でどーにかこーにかできるらしいですが詳しくはよく知りません。
ちなみにテータ関数とヤコビの楕円関数の間には次のような関係があることが知られています。
が成り立つ。
簡単にその証明を書いておきます。
テータ関数の擬二重周期
ただし
から
は
を周期に持つ二重周期関数となり、またその零点と極の位置は
は極を持たない楕円関数、つまり定数関数となり、
が成り立つことからわかる。
定理7を発見的に考える。
と展開できたとすると
となる(最後の等号は
が成り立たなければならない。この関係式と
となることがわかる(らしい)。よって
を得る。