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二項係数の逆数が付いたMZV

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自分用に適当にまとめてみる。
※記事の中でインデックスの深さを明記しない場合があるが、空気を読んで解釈してほしい。
※過度な一般化はしない。

本題

Z(k;l)=0=m0<m1<<ma 0=n0<n1<<nb22mamk(2mama)(12)ma(12)nb(12)ma+nb1(n12)l

以下、C(m,n)=(12)m(12)n(12)m+nとする。

Z(k;l)=Z(k;l)

部分分数分解により、
 nb<nb+11nb+112(12)nb+1(12)ma+nb+1=1ma(12)nb(12)ma+nb
両辺に(12)maを掛けると
 1maC(ma,nb)=nb<nb+11nb+112C(ma,nb+1)
より従う。

Z(k;l)=Z(k;l)

22n(2nn)=n!(12)nに注意すると、部分分数分解により、
 ma<ma+122ma+1ma+1(2ma+1ma+1)(12)ma+1(12)ma+1+nb=22ma(nb12)(2mama)(12)ma(12)ma+nb
両辺に(12)nbを掛けると
 ma<ma+122ma+1ma+1(2ma+1ma+1)C(ma+1,nb)=22ma(nb12)(2mama)C(ma,nb)
より従う。

輸送関係式

Z(k;l)=Z(k;l)Z(k;l)=Z(k;l)

Z(k;)に対して輸送関係式を適用していくことで次が分かる。

Z(k;)=Z(;k)

Z(k;)=0<n1<<nr22nrnk(2nrnr)Z(;k)=0<n1<<nr1(n12)kより、最大の変数に二項係数の逆数が付いた級数をMtV (AMZV) で表せたことになる。

計算例

 0<m1<m222m2m1m22(2m2m2)=0<m1<m222m2m1m2(2m2m2)1m2C(m2,0)=0<m1<m222m2m1m2(2m2m2)0<n11n112C(m2,n1)=0<n11n1120<m11m1m1<m222m2m2(2m2m2)C(m2,n1)=0<n11n1120<m11m122m1(n112)(2m1m1)C(m1,n1)=0<n11(n112)20<m122m1m1(2m1m1)C(m1,n1)=0<n11(n112)3C(0,n1)=7ζ(3)

応用

次のような級数を考える。
 0<m1<m2(2m1m1)22m11m1m2222m2(2m2m2)=0<m1<m2(2m1m1)22m11m1m222m2(2m2m2)0<n11n112C(m2,n1)=0<n11n1120<m1(2m1m1)22m11m122m1(n112)(2m1m1)C(m1,n1)=0<n11(n112)20<m11m1C(m1,n1)
ここで次の補題を示す。

0<m1mC(m,n)=20<m(1)m2n1+m

an:=0<m1mC(m,n)とする。1<nのとき、
 an1an=0<m(12)mm(12)n(12)m+n2m2n1=22n10<m(12)m(12)n(12)m+n=1(2n1)(n1)
よってan=1(n1)(2n1)+an1であるから、これを帰納的に適用して
 an=a1m=1n11m(2m+1)
定義からa1=0<m1m(2m+1)なので
 an=nm1m(2m+1)
が分かり、結局
 0<m1mC(m,n)=nm1m(2m1)=2nm(12m12m+1)=20m(1)m2n+m=20<m(1)m2n1+m

先程の式に補題を適用して、
 0<m1<m2(2m1m1)22m11m1m2222m2(2m2m2)=20<n11(n112)20<n2(1)n22n11+n2=80<n1,n2(1)n2(2n11)2(2n11+n2)=40<n1,n2(1(1)n1)(1)n2n12(n1+n2)=4(ζ(2,1)ζ(2,1))=π2ln272ζ(3)
となる。これを一般化する。

 R(k):=0<m1<<ma(2m1m1)22m11mk22ma(2mama)S(k):=20<m1<<ma    0<m1(m12)k(1)m2ma1+m
とする (アルファベットは適当) 。定義から、R(k)=ζ(k)である。先程の例と同様に計算することで、
 R(k,k)=0<m1<<ma1(m12)k0<m1mkC(m,ma)=0<m1<<ma1(m12)kma<ma+1<<ma+k11(ma+112)(ma+k112)0<m1mC(m,ma+k1)=S(k,{1}k1)
 S(k)=20<m1<<ma    0<m1(m12)k(1)m2ma1+m=21+wt(k)0<m1<<ma    0<m1(2m1)k(1)m2ma1+m=21+wt(k)dep(k)0<m1<<ma    0<m(1(1)m)mk(1)mma+m=21+wt(k)dep(k)0<m1<<ma+1(1(1)m1)(1(1)ma)(1)ma+1m1k1makama+1
よって、R(k)はAMZVで書けることが分かる (どうやらMtVの線形結合になりそうなのだが、示せなかった) 。

計算例 (おまけ)

 R(1,2,3,4)=S(1,1,2,1,2,2)=240<m1<m2<m3<m4<m5<m6<m7(1(1)m1)(1(1)m2)(1(1)m3)(1(1)m4)(1(1)m5)(1(1)m6)(1)m7m1m2m32m4m52m62m7=16(ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)+ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)ζ(1,1,2,1,2,2,1)+())

感想

応用のほうも連結和でいい感じにできるんだろうが、僕は簡単なことしかできないので頭がバグりそうになって諦めた。誰かいい感じにまとめてほしい。あと、応用のところは最小変数にこだわる必要はなさそう (試してないけど) 。誤植・勘違い・計算ミスとかあったらすいません。

投稿日:20221116
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