数直線上の区間といえば,開区間や閉区間だけでなく,半開区間や無限区間,さらには,全区間までも含んだ総称となっています。表にまとめると,次のようになります。
開区間 | 閉区間 | 半開(閉)区間 | 無限区間 | 全区間 |
---|---|---|---|---|
$(a,b)$ | $[a,b]$ | $(a,b]$ | $(a,\infty)$ | $(-\infty,\infty)$ |
$[a,b)$ | $[a,\infty)$ | |||
$(-\infty,b)$ | ||||
$(-\infty,b]$ |
ところで,これらのパターンは一体どこからやってくるのでしょうか?
区間と呼べそうなものを思いつく限り列挙するのではなく,何らかの条件によって統一的に捉えたいところです。
その答えが,$ I \subset \mathbb{R} $に対する以下の条件です:
$ c < d $を満たすような$ c, d \in I $が与えられたとき,任意の$ c < x < d $に対して$ x \in I $が成り立つ。
この条件が区間の特徴付けになっていることを確かめていきましょう。
(正確に言うと,$ I $が空集合や$ 1 $点集合の場合にも上の条件は満たされてしまうので,それらは除外して考えます。)
まず,(当たり前といえば当たり前ですが,)$ I $が区間であれば,上の条件は満たされます。
例えば,$ I = (a, b) $であれば,$ c < d $を満たすような$ c, d \in I $が与えられたとき,任意の$ x \in (c, d) $に対して$ a < c < x < d < b $が成り立ちます。これは,$ x \in I $ということに他なりません。
$ I $が他の形をした区間の場合にも,すべて同様に確かめることができます。
逆に,上の条件を満たすような$ I $は,区間のどれかに一致します。
それを示すのに,$ \mathbb{R} $のもつ以下の性質を思い出しておきましょう:
$ \mathbb{R} $の空でない部分集合は,上に有界なら上限をもち,下に有界なら下限をもつ。
このことを用いると,例えば,$ I $が有界である場合には,$ a = \inf I $, $ b = \sup I $と置くことができます。そして,このとき,$ (a, b) \subset I \subset [a, b] $が成り立ちます。
実際,$ a < x < b $とすると,$ x $が下限より大きいことから,$ c < x $を満たすような$ c \in I $が存在し,また,$ x $が上限より小さいことから,$ x < d $を満たすような$ d \in I $が存在しますが,このとき,$ I $に対する条件から$ x \in I $となります。これは,$ (a, b) \subset I $ということに他なりません。($ I \subset [a, b] $であることは,上限と下限の定義から明らかです。)
さて,$ I $が有界である場合には,$ (a, b) \subset I \subset [a, b] $が成り立つことが分かりました。
あとは,$ a $, $ b $がそれぞれ$ I $に含まれるか否かで場合分けをすれば,$ I $が開区間,閉区間,半開区間のいずれかであることが分かります。
次に,$ I $が上にも下にも有界でない場合を考えます。このとき,$ I = \mathbb{R} $が成り立ちます。
実際,$ x \in \mathbb{R} $とすると,$ x $が$ I $の下界ではないことから,$ c < x $を満たすような$ c \in I $が存在し,また,$ x $が$ I $の上界ではないことから,$ x < d $を満たすような$ d \in I $が存在しますが,このとき,$ I $に対する条件から$ x \in I $となります。これは,$ \mathbb{R} \subset I $ということに他なりません。($ I \subset \mathbb{R} $であることは,そもそもの仮定に含まれています。)
残りの場合,すなわち,$ I $が下(上)に有界だが上(下)に有界でない場合には,上述の議論を組み合わせることで対処します。
結論だけ述べておくと,このとき,$ I $は無限区間のどれかに一致します。
一連の議論によって,バラバラに列挙されていた区間たちをひとつの条件にまとめることができました。
証明の部分は決して面白いものではありませんが,少しスッキリした気分にはなれたのではないでしょうか。
最後まで記事を読んでいただき,ありがとうございました。