微分積分学の勉強をしていると,いわゆる-論法を用いた極限の定義が出てきます。
関数のでの極限がであることを,「任意のに対して,あるが存在して,を満たすようなすべてのに対してが成り立つ。」という条件で定義するおなじみのあれです。
(この記事では,関数はの部分集合で定義された実数値関数を考え,その定義域をで表すことにします。)
極限の定義で前提となっているのは,関数が“の周りで定義されている”ということです。
これは,「あるが存在して,が成り立つ。」という条件で表すことができます。
そこで,改めて,という組を考え,関数の“の周りでの様子”を見ていこうと思います。
いま,別の関数が,これまたの周りで定義されているとします。
つまり,あるが存在して,が成り立つとします。
このとき,もし,上なら,関数の“の周りでの様子”という意味で,ととは同一視してよいでしょう。
関数の極限とは,正確には,この同値類に対して与えられるものだと考えたいところです。
それを踏まえて,以下の定義を述べておきます:
関数の極限
を上述の通りとし,とする。
任意のに対して,あるが存在して,を満たすようなすべてのに対してが成り立つとき,関数のでの極限はであるという。
この条件が成り立つか否かは,同値なの取り方に依らない。