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大学数学基礎解説
文献あり

二項係数の逆数の無限級数が収束する事を証明する

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命題

$$ \sum_{n=0}^{\infty}\binom{2n}{n}^{-1} $$
が収束する。

証明

まず、
$$ \binom{2n}{n}^{-1} > 0 \; ( \forall{n}\in \mathbb{N}) $$
であるので級数(有限和)は単調増加するため上に有界であることを示せばよい。
次に、
$$ \sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2} $$
は収束する事が分かっている(バーゼル問題より)。そのため、
$$ \forall{n}\in\mathbb{N} \; で \\ \binom{2n}{n}^{-1} < \frac{1}{n^2} $$
が示せれば求める無限級数が上に有界であることが示せる。
このことからそれぞれの逆数をとり次の命題を証明する。

$$ \binom{2n}{n} > n^2 \; (\forall{n}\in\mathbb{N}) $$

数学的帰納法で解く。
まずn=1のとき
$$ \binom{2}{1}=2>1^2=1 \\ よって成立。 \\ 次にn=k \; (k\in\mathbb{N}) のとき成立すると仮定。つまり \\ \binom{2k}{k}>k^2 \\ このとき \\ \binom{2(k+1)}{k+1}>(k+1)^2 \\ となることを示せばよい。左辺を展開すると \\ \binom{2k+2}{k+1} \\ = \frac{(2k+2)!}{((k+1)!)^2} \\ = \frac{(2k+2)(2k+1)}{(k+1)^2} \cdot \frac{(2k)!}{(k!)^2} \\ \frac{(2k)!}{(k!)^2} = \binom{2k}{k} \; より \\ = \frac{(2k+2)(2k+1)}{(k+1)^2}\binom{2k}{k} \\ 仮定より \\ \binom{2k+2}{k+1} > \frac{2k^2(2k+1)}{k+1} \\ つまり \\ \frac{2k^2(2k+1)}{k+1} > (k+1)^2 \\ 2k^2(2k+1) > (k+1)^3 \\ が示せればよい。 $$

$$ f(x) = (x+1)^3 \\ g(x) = 2x^2(2x+1) \\ が \\ \forall{x} \geq \exists{α} \; (>0)で \\ g(x) > f(x) \\ を満たす。 $$

$$ h(x) = g(x) - f(x) \; とすると\\ \;\;\;\;\;\;\; = 2x^3+2x^2-x^3-3x^2-3x-1 \\ \;\;\;\;\;\;\; = 3x^3 -x^2 -3x -1 \\ 関数の増減を調べる。 \\ h'(x) = 9x^2-2x-3 \\ =(x-\frac{1+2\sqrt{7}}{9})(x-\frac{1-2\sqrt{7}}{9}) \\ 電卓などを用いて値を計算すると \\ -1<\frac{1-2\sqrt{7}}{9}<0<\frac{1+2\sqrt{7}}{9}<1 \\ が分かる。よって \\ h'(x) > 0 \; (\forall{x}\geq1)\; であり、 \\ \forall{x}\geq1 \; においてh(x) \; は単調増加。 さらに \\ h(1)=3-1-3-1<0 \; だが \\ h(2)=3\cdot8-4-6-1>0 \; となるので \\ \forall{x} \geq 2 \; で \; h(x) > 0 \; となる。これで \\ 2x^3(2x+1) > (x+1)^3 \; (\forall{x} \geq 2)\\ が成り立つため全ての命題が導けた。 $$

あとがき

前回の投稿の収束証明です。
投稿に記載したとおり値の導出はかなり昔に行いましたが
収束の証明はごく最近に行いました。
上の記述で証明として成立してるか否かはぶっちゃけ不明です。
これもよりよい別解とかありそう・・・。

参考文献

投稿日:2022123

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