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この記事では, 次のような問題を考えていきます.
この問題は, 私は自分で考えて, 頑張って解いたのですが, ネットでそれとは違う, エレガントな解法を見かけたので, ここにまとめようと思います.
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まず普通に解く方法を言います.
素因数に注目すると$2$と$3$は対称であるとわかります. 従って$5$の出る回数に注目して漸化式を作ると, うまいこと解くことができます.
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では次に, そのエレガントな解法を言います.
次のような関数を考えます.
$$ \displaystyle f_n(x,y,z)=\big(1+x+y+x^2+z+xy\big)^n$$
これは, さいころを$n$個振ることに対応しています.
どういうことかというと, この$n$乗を展開することを考えると, $6$つの項のうちどれをとって掛けるかという選択を$n$回することになるということです.
具体的に言うと, この場合$x,y,z$はそれぞれ$2,3,5$に対応しているので, 例えば出目の積の素因数が, $2$が$2$個, $3$が$3$個, $5$が$5$個であるような目の出方は, $f_n(x,y,z)$ の$x^2y^3z^5$の項の係数に等しくなります.
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従って, 求める場合の数$a_n$は, $f_n(x,y,z)$ の, 肩の数字が偶数の項, つまり$x^{2a}y^{2b}z^{2c}$の項の係数の総和に等しくなります.
偶数乗の項のみ取り出すには, $\displaystyle \frac{f(x,y,z)+f(-x,y,z)}{2}$ を考えます. これは$x$の偶数乗が含まれる項のみ取り出したものとなっています. (奇数乗の項は打ち消されます.)
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この考え方を利用すれば, もう解くことができますね.
即ち, 負の値を代入してみること, また項の係数の和は$1$を代入すれば求まることから,
$$ \displaystyle a_n=\frac{f(1,1,1)+f(-1,1,1)+f(1,-1,1)+f(1,1,-1)+f(1,-1,-1)+f(-1,1,-1)+f(-1,-1,1)+f(-1,-1,-1)}{8}$$となります.
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具体的に計算してみると,
$$ \begin{eqnarray*}
a_n &=& \frac{6^n+2^n+2^n+4^n+0+0+2^n+0}{8} \\
&=& \frac{3\cdot2^n+4^n+6^n}{8}
\end{eqnarray*}$$となります.
従って,
$$ \begin{eqnarray*}
p_n &=& \frac{a_n}{6^n} \\
&=& \frac{1}{8}\bigg(\,\frac1{3^{n-1}}+\Big(\frac23\Big)^n+1\bigg)
\end{eqnarray*}$$と分かりました.
極限が
$$ \displaystyle\lim_{n\to\infty}p_n=\frac18$$であるのは, $p_n$が$3$種類の素因数の個数がどれも偶数である確率であることから納得できて面白いですね.
この方法を用いると, 出目の積が立方数や$4$乗数になる確率も求めることができそうです.
また, さいころなどの確率について考えるとき, 上のような多項式(母関数)の係数を考えると面白いことが言えることが多いです.
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それでは, 読んでくださりどうもありがとうございました.
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