黄金比の自然数倍の整数部分から数列を作ると面白いことが起こります。
黄金比 $\varphi$ は次のような定数です。
${\displaystyle \begin{align} \varphi&=\frac{1+\sqrt{5}}{2}\\ &=1.618\cdots \end{align} }$
2乗するとこうなります。
${\displaystyle \begin{align} \varphi^2&=\frac{3+\sqrt{5}}{2}\\ &=2.618\cdots \end{align} }$
それぞれ自然数倍して数列を作ります。
${\displaystyle \begin{align} &\{\varphi,2\varphi,3\varphi,\cdots\}=\{1.618\cdots,3.236\cdots,4.854\cdots,6.472\cdots,\cdots\}\\ &\{\varphi^2,2\varphi^2,3\varphi^2,\cdots\}=\{2.618\cdots,5.236\cdots,7.854\cdots,10.472\cdots,\cdots\} \end{align} }$
整数部分のみの数列を作るとこんな感じになります。
${\displaystyle \begin{align} &\{\lfloor\varphi\rfloor,\lfloor2\varphi\rfloor,\lfloor3\varphi\rfloor,\cdots\}=\{1,3,4,6,8,9,11,12,14,16,17,19,21,22\cdots\}\\ &\{\lfloor\varphi^2\rfloor,\lfloor2\varphi^2\rfloor,\lfloor3\varphi^2\rfloor,\cdots\}=\{2,5,7,10,13,15,18,20,23,\cdots\} \end{align} }$
そうすると、全ての自然数はこれら二つの数列のいずれかに必ず一回だけ登場します。漏れもダブりもありません。面白いですね!この不思議な現象はレイリーの定理で説明できます。
参考: https://mathlog.info/articles/259
さらに、どちらの数列に数字が表れるかを"0"と"1"で表す次のような新しい数列$\{R_n\}$を考えてみましょう。
${\displaystyle \begin{array}{|c|*5{c|}}\hline \mathbb{N}&1&2&3&4&5&6&7&8&9&10&11&12&13&14&15&16&\cdots\\ \hline \lfloor n\varphi\rfloor&1&&3&4&&6&&8&9&&11&12&&14&&16&\cdots\\ \hline \lfloor n\varphi^2\rfloor&&2&&&5&&7&&&10&&&13&&15&&\cdots\\ \hline R_n&1&0&1&1&0&1&0&1&1&0&1&1&0&1&0&1&\cdots\\ \hline \end{array} }$
この新しい数列は、任意の部分列が無限回現れるにもかかわらず周期をもたないという、とても面白い性質を持っています。フラクタル構造を持っており、この数列を使ってフラクタルなタイリングを作ることもできます。
RabBIT数列(又はフィボナッチ列)と呼ばれています。
一般的にはフィボナッチ列は上記の$R_n$の0と1を入れ替えたものとなっていますが、本質的にRabBIT数列と同じものと考えられます。
RabBIT数列を構成するには今回紹介した方法以外にもいろいろあります。
傾き黄金比の直線がx軸・y軸に平行な直線を横切る位置を使ったり、0と1を一定のルールで置換したり、再帰的に後ろへ数列を追加していったりする方法などがあります。
0の数や1の数、繰り返しの位置などいろいろなところにフィボナッチ数もでてきます。
RabBIT数列はいろいろと面白い性質がある私の推し数列です!
次のサイトに膨大な情報が集められていますので、興味を持った方は読んでみてください!
Fibonacci Numbers and the Rabbit sequence
http://www.maths.surrey.ac.uk/hosted-sites/R.Knott/Fibonacci/fibrab.html