0

四色定理を(コンピュータなしで)証明する

1353
2

 初めまして、12匁です。
 本記事は初投稿の文書なので杜撰かと思いますが大目に見てもらえると嬉しいです。また、本記事を読むうえで グラフ理論 の予備知識が必要なのでそこはご容赦ください。

証明の概略

  1. 平面グラフの性質
    1. 部分グラフとして含む完全グラフ
    2. 完全グラフを含まない4彩色可能
  2. 平面グラフの4彩色可能問題(四色問題)の証明

step1. 平面グラフの性質

 平面グラフはK5を部分グラフとして含まないことはよく知られている。
また、K3,3を部分グラフとして含まないことも知られているが、今回の証明には登場しないので忘れてもらっていい。
 また、平面グラフは頂点の個数だけ色を準備すれば彩色可能なので、"最小彩色数"が存在するはず。(最小彩色数が4以下4彩色可能)

 では、平面グラフはどのような完全グラフを部分グラフとして含む(含まない)のだろうか。

 平面グラフはK5を部分グラフとして含まないので、そこからK6,K7,も含まないことが推測できる。一応証明しておこう。

対偶をとると、"Kn>5を含むK5を含む"となる。
そもそもKn>5K5を含むので自明である。

 以上より、平面グラフはKn5を部分グラフとして含まないことが分かった。

 また、"Knを含まない最小彩色数がnの部分グラフを含まない"である。これもしっかり証明しておこう。

対偶をとると、"最小彩色数がnの部分グラフを含むKnを含む"となる。
最小彩色数がnの部分グラフのうち最小なものをgとおくと、それは"真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフ"となり、それはKnである。

 よって、平面グラフは"最小彩色数が5以上の部分グラフを含まない"ことが分かった。つまり、"最小彩色数が4以下の部分グラフしか含まない"ことが導かれた。

step2. 平面グラフの4彩色可能問題(四色問題)の証明

 step1で、平面グラフは最小彩色数が4以下の部分グラフしか含まないことが分かった。
 ここで、"自分自身"も自身の部分グラフであることを思い出すと次の定理を得る。

4彩色可能定理

平面グラフは最小彩色数が4以下である。

 これは、まさに私たちの示したかったことだ。こうやって考えることで平面グラフは4彩色可能だということを論理的に示すことができるのである。


おまけ(真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフがKnであることの厳正な証明)

step1で、「"真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフ"となり、それはKnである。」と述べたが、にわかには信じがたいことである。なのでここでしっかり証明する。

彩色可能をグラフで表す

gn彩色可能gn部グラフの部分グラフである。

※n部グラフは2部グラフを一般化したものと思ってもらっていい

""は自明なので""のみを示す。
gn彩色可能ということは、同じ色どうしを同値類に属させればgは単純グラフとしていいのでn部グラフの部分グラフになる。

帰納法の準備

"s部グラフでないs+1部グラフ"は
"s1部グラフでないs部グラフ"を含む

 対偶を示す。("s1部グラフでないs部グラフ"を含まない"s部グラフでないs+1部グラフ"でない)
 場合分けをする。

左側がts+1部グラフのとき

 自明。(ヴェン図を考えるといい。)

左側がs+1部グラフのとき

 部分グラフとしてs部グラフを含むが、それらはすべてs1部グラフと換えられ、部分グラフとして含むs+1部グラフがs部グラフになってしまう。自身(s+1部グラフ)は部分グラフとして含むので、「s部グラフでないs+1部グラフ」という条件を満たしていない。

以下、数学的帰納法を用いて、__真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフ__がKnであることを証明する。

 "真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフ"がKnであるということは、__最小彩色数がnのグラフは必ずKnを含む__と言い換えられる(同値である)。

 ここで、補題1より、"最小彩色数がnであるn1部グラフ(の部分グラフ)でないn部グラフ(の部分グラフ)である"ので、そちらを示す。

n=2の場合

 1部グラフ(孤立点のみのグラフ)でない2部グラフは必ず辺を含むはず。よって、そのグラフはK2を含む。

kを仮定し、k+1を導く

 k1部グラフでないk部グラフはKkを含むと仮定する。
そのとき、補題3より、"k部グラフでないk+1部グラフ"は"k1部グラフでないk部グラフ"を含むことになり、仮定よりKkを含むとわかる。
 k部グラフでないk+1部グラフがKkを含むとき、(その)Kk(のうちのどれか一つ)に用いられていない同値類をC(v)と置くと、vC(v)Kkと完全に結ばれていないと仮定すると()vと結ばれていないKkの頂点を同じ同値類に入れることができるため、k部グラフになってしまい矛盾する。
 よって仮定()が間違っていることとなり、Kkと完全に結ばれているvC(v)が存在することがわかる。そしてvC(v)Kkを完全に結んだグラフはKk+1である。


 よって題意は示された。(証明終わり)

 おまけなのにとても苦しい内容になってしまい、すみません。間違い等の指摘があり次第再投稿を検討します。

 最後となりますが、ここまでのお付き合いありがとうございました。またどこかで会いましょう。

                                            by 12匁

投稿日:202312
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

12匁
12匁
3
1779
直和の定義見て"集合として等しい"を知らずに背伸びしていたことに気づいたことがある。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 証明の概略
  2. step1. 平面グラフの性質
  3. step2. 平面グラフの4彩色可能問題(四色問題)の証明
  4. おまけ(真部分グラフに最小彩色数がnのグラフを含まない最小彩色数がnのグラフが$K_{n}$であることの厳正な証明)
  5.  ここで、補題1より、"最小彩色数が$n$である$ \Longleftrightarrow$$n-1$部グラフ(の部分グラフ)でない$n$部グラフ(の部分グラフ)である"ので、そちらを示す。