二項定理は、例えば$(a + b)^6$,$(a + b)^{10}$などの、二項の累乗の式 $(a + b)^n$を展開するときに便利な定理です。
まずは定理の内容を確認してみましょう。
自然数 $n$ に対して、$(a + b)^n$を展開したときの$ a^{n-r}b^r
$の係数は、$
{}_n \mathrm{ C }_r
$に等しい。すなわち、次の展開式が成り立つ。
$$
(a + b)^n =
{}_n \mathrm{ C }_0 \ a^n +
{}_n \mathrm{ C }_1 \ a^{n-1}b + \cdots +
{}_n \mathrm{ C }_r \ a^{n-r}b^r + \cdots +
{}_n \mathrm{ C }_n \ b^n
$$
次に具体的な例を挙げて解説していきます。
$(a + b)^2$を例に考えてみます。
分配法則を用いて展開すると、
$(a + b)^2 = (a + b)(a + b) = a^2 + 2ab +b^2$
となり、例えば$ab$の項に注目すると、$ab$となる項は、$ab$、$ba$の2個です。この個数は2個の異なるものから1個選ぶ組合せの総数 ${}_2 \mathrm{ C }_1$ と一致するため、展開式の$ab$の項の係数は ${}_2 \mathrm{ C }_1 = 2$となります。
この考え方を、$(a + b)^n$ ($n$は自然数)の場合に適用すると、二項定理が成り立ちます。
$(a + b)^n$を展開したときの、${}_n \mathrm{ C }_r \ a^{n-r}b^r \ (0 \leq r \leq n)$を一般項といいます。
例として、$(a + b)^4$を展開してみます。
$$(a + b)^4 = {}_4 \mathrm{ C }_0 a^4+{}_4 \mathrm{ C }_1a^3b+{}_4 \mathrm{ C }_2a^2b^2+{}_4 \mathrm{ C }_3ab^3 +{}_4 \mathrm{ C }_4b^4 =a^4 + 4a^3b + 6a^2b^2 + 4ab^3 + b^4$$
このように、二項定理を使うことで、簡単に二項の累乗の式を展開することができます。実際に$a,b$に数値がある場合も、展開後に代入することで簡単に式を整理することができます。